- 2021.01.04
- 書評
【『監禁面接』文庫化】残虐描写はないのにルメートルらしさ全開! 人生どんづまり男の、一発逆転再就職サスペンス
文:編集部
『監禁面接』(ピエール・ルメートル)
ジャンル :
#小説
,#エンタメ・ミステリ
そもそも本国フランスでは数多くのミステリー賞を受賞してきましたし、『天国でまた会おう』ではフランスでもっとも権威ある文学賞であるゴンクール賞を受賞しました。
最初の英訳作となった『その女アレックス』が、イギリス推理作家協会が最優秀の翻訳ミステリーに与えるインターナショナル・ダガー賞の二〇一三年の受賞作になったのを皮切りに、『悲しみのイレーヌ』が二〇一四年の同賞最終候補、二〇一五年には『傷だらけのカミーユ』でまたもや同賞を受賞、さらに翌二〇一六年には『天国でまた会おう』でみたびインターナショナル・ダガー賞を受賞、二〇一七年にも『死のドレスを花婿に』が同賞最終候補に、といった具合で、イギリスでもっとも注目される海外ミステリー作家の地位を確立しています。
イギリスに比べると欧州のミステリー作家の輸入が多くないアメリカですが、かのスティーヴン・キングがルメートルをチェックしており、「真にすばらしいサスペンス作家だ」と賛辞を送っています。また、ポーランドの作家ジグムント・ミウォシェフスキの『怒り』が随所でルメートル作品にオマージュを捧げていて、「ポーランドのピエール・ルメートル」と称されてベストセラーになったとのこと。ルメートルの名は東ヨーロッパにも轟いているようです。
さて、今後の日本での刊行予定ですが、現在未訳となっているのは、犯罪小説Trois jours et une vie、小社より刊行予定でノンシリーズ作品です。ルメートル自身が「ノワール」と呼ぶ、殺人を犯した少年をめぐるダークな物語で、いわばゴンクール賞受賞作家としてのルメートルと、ミステリー賞受賞作家としてのルメートルを融合させたような作品に仕上がっている模様です。
(単行本巻末の「解説」を転載しました。)
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