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いつの日か私は学研の「現代日本の文学」を全巻揃えることが出来るだろうか

いつの日か私は学研の「現代日本の文学」を全巻揃えることが出来るだろうか

坪内 祐三

『最後の人声天語』(坪内 祐三)

出典 : #文春新書
ジャンル : #ノンフィクション

『最後の人声天語』(坪内 祐三)

 ここ数年(いや、十年以上?)古本ブームが続いている。

 正確に述べれば古本本ブームなのだが(斜陽化したのちにその業界についての本が出るのは一時期の映画に似ている──となると一部ではやっているオシャレ系古本屋はかつてのミニシアターか)。

 単行本だけでなく雑誌の特集も多い。

 最近はついに『新潮45』まで特集した(六月号)。

 だから今回は古本について書く。

 ここ数年私が集めている古本だ。

 といっても特殊なものではない。

 ごくありきたりなものだ。

 つまり、戦後に出た日本文学全集。

 何だよ、坪内祐三、古本好きと言われているのにレベル低いな、と思う人もいるかもしれない。

 私自身こういう時代がやって来るとは思っていなかった。

 学生時代は昭和三十年代四十年代に出た日本文学全集に殆ど関心がなかった。

 昭和三十年代四十年代は日本文学全集の黄金時代で、何十種の全集が刊行されたかわからない(ひょっとして百種を超えているかもしれない)。

 しかしこの中にとんでもない宝が隠されていたのだ。

 それは昭和四十年代に学研から刊行された「現代日本の文学」全五十巻だ。

 十年ぐらい前、駒沢のBOOK・OFFでその第二十四巻『高見順集』を百円で見つけ入手した。

 中を見て驚いた。

 とても充実していたので。

 この種の全集につきものの年譜や注、月報はもちろんだが、巻頭の十六頁に及ぶカラーグラビア、それに続くやはり写真がふんだんに入った「文学紀行」(この巻の執筆者は中島健蔵)、そして巻末の「文学アルバム」を合わせ百頁近くもある(新潮の「新潮日本文学アルバム」シリーズよりもクォリティーが高いかもしれない──と言うより「新潮日本文学アルバム」に高見順の巻はない)。

最後の人声天語
坪内祐三

定価:本体950円+税発売日:2021年01月20日

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