第9回「大阪ほんま本大賞」(主催 Osaka Book One Project実行委員会)が発表され、8月3日に文庫が発売になった大島真寿美さんの『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び(以下、『渦』)』が受賞作として決定しました。
「大阪ほんま本大賞」は「大阪に由来のある著者、物語であること」「文庫であること」「著者が存命であること」の3条件を満たす「ほんまに読んで欲しい1冊」を選び、その本の販売で得られた収益の一部を大阪府社会福祉協議会を通じて、大阪の子供たちに本を寄贈するというプロジェクトです。
受賞作『渦』は、江戸中期の大坂・道頓堀を舞台に、人形浄瑠璃に情熱を注いだ近松半二の生涯を追った物語です。第161回直木賞、第7回高校生直木賞続き、三冠目の受賞です。
大島さんの受賞コメントは以下の通りです。
『大阪ほんま本大賞』に選んでくださり、どうもありがとうございます。
この小説をきっかけに大阪が生んだ日本の宝【文楽】を一度観てみよう、と思ってもらえたらうれしいです。
また、本作のスピンオフ作品『結 妹背山婦女庭訓 波模様(以下、『結』)』も、8月4日に発売に。大島さんにとって直木賞受賞第一作かつ、2年ぶりの新作となる『結』は、『渦』のあと、半二の娘・おきみ、画人の耳鳥斎、近松徳三、菅専助、十返舎一九、近松柳ら半二の遺伝子を引き継いだ人々が人形浄瑠璃に魅せられ、様々な喜怒哀楽に浮き沈み、せわしなくも愛しい人間模様を生き生きと描いた群像時代小説です。
9月10日(金)には、文楽と落語の豪華コラボイベントとして、〈【文春文楽&落語】 太夫・豊竹呂太夫&三味線・鶴澤清介「入間詞長者気質 持余屋の段」/柳家さん喬「宿屋の富」〉が開催されます。
「入間詞長者気質」は、『結』で重要な役割を果たす、画人の耳鳥斎が作ったとされる素浄瑠璃です。このようなユニークな法螺話、おどけ浄瑠璃が、やがて上方落語へと変化、発展していったとされ、上方落語「高津の富」から派生した「宿屋の富」を柳家さん喬師匠による落語でお届けします。また豊竹呂太夫師匠は大島真寿美さんへ義太夫の指導も行っており、今回は師弟によるスペシャル対談も行われます。(主催 文藝春秋)