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創刊90周年記念号最終回は〈第165回直木賞決定&発表〉と〈直木賞作家特集〉

創刊90周年記念号最終回は〈第165回直木賞決定&発表〉と〈直木賞作家特集〉

文:「オール讀物」編集部

「オール讀物」9・10月合併号


ジャンル : #小説 ,#エンタメ・ミステリ ,#歴史・時代小説

「オール讀物」9・10月合併号が本日発売になりました。3号連続の創刊90周年記念特別号は今回が最終回。そのラストを飾るのは〈第165回直木賞決定&発表〉と〈直木賞作家特集〉です。

「オール讀物」9・10月合併号(文藝春秋 編)

第165回直木賞は、佐藤究さん『テスカトリポカ』と澤田瞳子さんの『星落ちて、なお』のW受賞となりました。直木賞の受賞作が2作品になるのは、実に7年半ぶりの出来事で、その選考では3時間に及ぶ熱い議論が交わされました。浅田次郎さん、伊集院静さん、角田光代さん、北方謙三さん、桐野夏生さん、髙村薫さん、林真理子さん、三浦しをんさん、宮部みゆきさんの9選考委員は、候補作品をどのように評価したのか――<選評>としてその全容をお読みいただけます。

第165回直木賞を『テスカトリポカ』で受賞した佐藤究さん(右)と、『星落ちて、なお』で受賞した澤田瞳子さん(左)

実は受賞者の佐藤究さんと澤田瞳子さんは、同じ年齢で誕生日も1日違い。しかし、作家としての人生の歩みはまったく異なります。福岡に生まれて格闘技に興味を持ち、様々な職業を転々とした後、純文学作家として一度デビューした佐藤さんと、京都に生まれて作家の母を持ち、大学院まで奈良時代史を専攻していた澤田さん。それぞれの直木賞を受賞するまでの道のりが、<グラビア><受賞のことば><自伝エッセイ>、そして受賞者本人同士の対談<一九七七年九月生まれふたり>で明かされます。

受賞作品『テスカトリポカ』と『星落ちて、なお』は長文のため、冒頭部分のみの収録となりますが、ほかにもライターの瀧井朝世さんによる佐藤作品の解説、文芸評論家の末國善己さんによる澤田作品の解説など、新しく誕生した直木賞作家を、様々な角度から特集した充実の内容です。

<直木賞作家特集>は、第163回直木賞受賞の馳星周さんが、受賞第一作として『少年と犬』のスピンオフ「少女と犬」を、奥田英朗さんは「ドクター伊良部」シリーズの15年ぶりの最新作「コメンテーター」を、辻村深月さんは140枚の中編「あの人のサロン詐欺」を、一挙掲載しています。

第163回直木賞を『少年と犬』で受賞した馳星周さん。愛犬と故郷の浦河で。

さらに、皇室をも巻き込んだ婚約破棄騒動を題材にした林真理子さんの「綸言汗の如し」、宮城谷昌光さんは三国志の最も有名な名将の評伝「諸葛亮」ほか、逢坂剛さん、小池真理子 さん、村山由佳さん、桜庭一樹さん、北村薫さん、青山文平さんの短編もすべて読切で、創刊以来の「オール讀物」の代名詞ともいえる、豪華な<読切短編>が勢ぞろいしました。

また90周年を記念した特別創作として、文藝春秋の初代社長・菊池寛をモデルとした、門井慶喜さんの「文藝春秋の貧乏神」では直木三十五の知られざる生涯を、柚木麻子さんの「アパート一階はカフェー」では大塚女子アパートメントを舞台にした菊池寛の功績を描いています。「オール讀物」の創刊と深く関わった菊池寛も、よもや令和の時代に自身がこのような形で小説に登場するとは、想像もしなかったことでしょう。当時の文藝春秋や文壇の活気あふれる雰囲気をぜひお楽しみください。

大正12年「文藝春秋」を創刊した菊池寛

合併号の今号は、通常よりもかなり分厚い一冊となっており、90周年の節目に向けて長い間準備してきたことが花開いた貴重な合併号です。ぜひともお手にとっていただけたら幸いです。

単行本
星落ちて、なお
澤田瞳子

定価:1,925円(税込)発売日:2021年05月12日

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