- 2022.02.03
- 特集
「かけ」や「もり」は危険、いかにも健康に良さそうな野菜ジュースも実は……「糖質中毒」の知られざる恐ろしさ
文:牧田 善二
『糖質中毒 痩せられない本当の理由』(牧田 善二)より#1
ジャンル :
#ノンフィクション
人はどうして太ってしまうのか。そして、なぜ痩せられないのか。それは私たちのせいではありません。知らず知らずのうちに、脳内が糖質に侵されて「糖質中毒」になってしまったからです。では、何を食べてよくて、絶対に食べたり飲んだりしてはいけないものは何なのか、さらにはどのような食べ方をすると効果があるのでしょうか。
そのヒントは、糖尿病専門医である牧田善二先生による『糖質中毒 痩せられない本当の理由』(文藝春秋)に書かれています。ここでは、同書より一部抜粋して、「糖質中毒」の知られざる怖さについて紹介します。(全2回の1回目)
◆ ◆ ◆
野菜ジュースや果物ジュースも体の中で悪さをします
「朝食代わりに野菜ジュースを飲んでいるのですが、通勤電車の中で気持ち悪くなってしまうことがよくあります」
「ランチを摂った後は眠くて仕事になりません。食べ過ぎないように蕎麦で軽く済ませているのにダメなんです」
「すぐにお腹が減ってしまいます。大盛りご飯を注文してしっかり食べておくのに、2時間もするとまた食べたくなって困ってしまいます」
こんな話をよく聞きます。まさに、糖質中毒の典型的な症状です。
ご飯はもちろん、いかにも健康に良さそうな野菜ジュースや果物ジュースや蕎麦にもたっぷり含まれる糖質が、彼らの体の中で悪さをしています。そして、さらに糖質を摂らずにはいられない状態になっているのです。
糖質中毒を読み解くキーワードは「血糖値」です。あなたも、健康診断で測定されていることでしょう。
ここに紹介したような症状に襲われているとき、彼らの血糖値はジェットコースターのように急激な「上昇・下降」を起こしています。
たとえば、「これだけで1日分のビタミンが摂れる」などとうたう野菜ジュースには、果汁や砂糖がたっぷり入っています。起き抜けの空腹時には血糖値は下がっており、そこで、糖分たっぷりのジュースを飲むと、血糖値が一気に上がります。
血糖値が下がっていたときはぼーっとしていたのが、上昇すると一時的に元気になります。そこで、「やはり朝はこのジュースがいい」と思うわけです。
ただし、血糖値が上がりすぎれば昏倒して死んでしまうため、膵臓からインスリンというホルモンが出て、高くなった血糖値を下げるように私たちの体はできています。このとき、血糖値の上がり方が急激であれば、インスリンも大急ぎで大量に分泌されます。すると、今度は血糖値が下がりすぎてしまうのです。
血糖値が大きく下がり70(単位は㎎/㎗、以下略)を切るようになると、動悸、吐き気、イライラ、眠気、強い空腹感、めまい……などの不快な症状に襲われます。すると、脳は「また血糖値を上げたい」と考え、糖質を摂るように体に命じます。そして、脳の思うままにまた摂ってしまうわけです。
実際に、仕事中に眠気を感じたらエナジードリンクや缶コーヒー、炭酸飲料を飲む人は多いでしょう。それによって下がった血糖値がまた急激に上がるため、一瞬だけシャキッとします。でも、急激に上がった血糖値は急激に下がり……と体の中で同じことを繰り返しているのが現実です。
言葉は悪いですが、脳の中で、「ヤクが切れた。もっとくれ」が行われているのであって、まさに中毒なのです。
もちろん、「糖質をまったく摂るな」などと言うつもりはありません。すぐにエネルギーとなる糖質を必要量摂取することは、いい仕事をする上でも大切です。しかしながら、その「必要量」を遥かに超えた量を多くの人が摂っており、血糖値を急上昇させ、その後の急降下でまた糖質を欲するという中毒に陥っています。
「かけ」や「もり」は危険、知識不足が糖質中毒を悪化させます
炭水化物は脂質やタンパク質などと一緒に食べたほうが血糖値の上昇がおだやかになります。つまり、同じ茶碗1杯のご飯を食べるときに、ふりかけだけで食べるより、豚肉の生姜焼きを添えたほうがいいのです。
同様に、うどんや蕎麦なら、具のない「かけ」や「もり」は最も血糖値が上がりやすい、すなわち糖質中毒になりやすい食べ方です。
糖質中毒になりやすいというのは、イコール太りやすいとも言い換えることができますが、多くの人は反対のことをやっています。
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