- 2024.10.01
- 特集
「ところどころに北海道弁が聞こえて……」「幸福が凝縮された物語」ーー朝倉かすみさん最新作『よむよむかたる』の読書会で見つけた「新しい読書の楽しみ方」。
『よむよむかたる』(朝倉 かすみ)
ジャンル :
#小説
,#エンタメ・ミステリ
『平場の月』『にぎやかな落日』など数々の作品で鮮烈な印象を残す朝倉さん。9月19日に発売されたばかりの最新作『よむよむかたる』は、自身の母の参加する「ちいさな集まり」に着想を得た心温まる小説です。
喫茶シトロンに毎月集まるのは、下は78から上は92歳までの6人の老人たち。本を片手に「ヤァヤァ、どうも、どうもでした」と集まれば、思い思いに本を朗読し、感想を述べあう。仲間の声に耳を傾け(傾けないことも多々)、自由で和やかな(時に剣呑な)時間が流れてゆく――。
そんな読書会を巡る新刊には、発売前に見本版を読んでくださった書店員さんから反響が続々。全国から届いた感動の声をお届けします!(第3回/全10回予定)
有隣堂藤沢本町トレアージュ白旗店 小出美都子さん
読み始めはほんわかした老人小説かなと思っていたけれど読むにつれそれぞれの違った面が少しずつ明かされる。
なりたい自分、理想の自分、きっとこの会にいる時だけはそうでありたいと願い集い、語る。
仲間も会にいる時はわたし達だけの知る誰々さんを尊重しあい余計な詮索はせずに心の奥底で繋がり支え合う。ああいいなぁ、自分もあと少し歳を取ったらこのサークルに入りたい。やっくん、それまで「坂の途中で本を読む会」をよろしくね!
HMV&BOOKS OKINAWA 中目太郎さん
読書会で集まった人々には、長い人生で培われた「その人らしさ」がそのまま表れている。上下関係もなく、社会的責任もない環境で、一冊の本についてめいめい語る様子はとても楽しそうで、うらやましくなった。ところどころに北海道弁が聞こえて、安心した様子で話す人々の雰囲気が目に見えるようだ。
カルコス各務原店 坂井由希子さん
あぁ、すごく分かるなぁと思いながら、読みました。ああでもない、こうでもないと話は色々な所に飛びながら、読んだ本の事を誰かと語り合う、ものすごく楽しい時間。自分にはなかった考えを相手からもらえたりする、刺激的で濃密な体験。
そんな幸福が凝縮された物語でした。
蔦屋書店熊谷店 加藤京子さん
皆で本を読む会、素敵ですね。色々な方がいて、それぞれの個性ある人生からの想い。オンラインで繋がることが当たり前になった今こそ、わざわざ集い、優しい交流をすることが必要なのかもしれません。
未来屋書店大日店 石坂華月さん
坂の途中で本を読む会! なんて素敵なネーミングだろう。
まさに人生の坂道の途中で本を読む会ですよね。
ある人はまだ上り坂、ある人は下り坂だろうか。
上は92歳、下は78歳という読書サークルは、案の定わちゃわちゃとして話が進むようで進まない。
彼等の個性と人間性が魅力的で、読書会って私には無理だわと頭で決めつけていたのですが、参加してみたくなりました。
親しい人には見せていない、その人らしさが垣間見えてくるのが不思議です。
音読に耳を傾けてしまい、私の心もオープンになるようでした。
S・Mさん
歳をとってから、這ってでも行きたい場所があるのは、羨ましいなと思いました。
明屋書店喜田村店 高橋杏奈さん
生まれも育ちも職業も、歩んできた道がバラバラの人々が、ある一点で交わり合う。それって奇跡だと思う。一歩違えば出会わなかったかもしれない。そう考えるとその尊さがさらに身に染みる。
微笑ましさと可笑しさとが混じり合って、堪らなく面白くて皆愛おしかった。当の本人たちは至って真剣なのに、なんでこんなに面白くて、見ていて元気が出るんだろう。読書会のメンバーが集まれば巻き起こる旋風。私もそこに参加して、弾けるパワーを全身で感じたい。
いくつになっても好きなもので繋がれるって最高だ。いつも悲観してばかりの未来が、ポッと明かりが灯るように、優しく迎えてくれているように見えた。「生きよう」という気持ちが、沸々と湧き上がってくる。
読書はひとりでするものだと思っていたけれど、こんな風に自分の経験や想いをのせて、本の感想を交換し合うのも素敵だなぁと思った。自分の人生を語るなんて、普段は気恥ずかしくてできないけれど、本のストーリーにのせてなら、すんなり話せる気がする。みんなでする読書、という新しい読書の楽しみ方を知ることができて、読み終わった今も心がホクホクしています。
旭屋書店新越谷店 猪股宏美さん
こんな風に読んだ本の感想を誰かと共有したこと、私はないなぁと残念に思った。
一緒に読んで、感想、解釈を語り合う。
それはただの感想ではなくて、その人の内面が溢れ出てしまうこと。
月に一度の集まりで、そこで見せるその人の顔はその場だけの一面だけれど、本質を曝け出している。
家族でも友達でもない、仲間。
わいわいガチャガチャな「坂の途中で本を読む会」だけれど、みんなの生きがいであり、人生のハリ。
そんな大切な場所を得られたら素敵だなぁと思った。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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