- 2024.11.15
- 読書オンライン
「明るい話になりました」著作200冊を目前にした堂場瞬一に訪れた変化とは?
堂場 瞬一
堂場瞬一『ポップ・フィクション』インタビュー
出典 : #文春オンライン
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
「刑事・鳴沢了」シリーズや「ラストライン」シリーズなど、ヒット作を世に放ち続ける作家・堂場瞬一さん。最新作『ポップ・フィクション』は、大正時代・出版文化華やかなりし頃を舞台にしたお仕事小説だ。
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「明治以降の日本のメディア史を描きたかったんです。印刷技術が大陸から入ってきて、新聞が始まり、活字文化が花開く。大正デモクラシーの流れが言論文化を押し上げて、月刊誌が150万部も売れるような時代がやってくるんですね。誰もが、自分の発言で世の中を変えられると信じていて、熱く思想信条を語りあっていた時代。僕自身、新聞記者からキャリアを始めているので、ルーツを覗いてみたいという気持ちがあったんです。
それに、この業界にいると、最近は編集者と打ち合わせをしていても、景気の悪い話から始まるでしょう(笑)。だから、思いっきり景気のいい時代を、作品の中で生きてみたかったんです」
活字メディアの“社史”に特徴が!?
この時代を描くにあたっては、新聞社や出版社の社史を読み漁ったという。
「それぞれにカラーがあって、新聞社の社史は淡々と記述している感じで、ドラマが浮かび上がってこない。かと思えば出版社はやり過ぎでは? と思うくらいに力が入っていて、小説みたいだと思うぐらい。片っ端から読んで、どこから物語を始めるか思案しました」
主人公・松川晴喜は「市民公論」の編集者。ある日、名物コーナー「巻頭言」を任されるが、それをきっかけに筆者が大学を追われる事態に……。
松川が出版業界を渡り歩く姿は、まさに日本の出版文化の変遷を映し出している。「市民公論」から始まり、作家が作家のために作った雑誌「文學四季」に招かれ、また新たな潮流を作る。侃々諤々の議論を交わしながら、雑誌が作られていく様が活写される。
堂場さん自身は“めんどくさい作家”なのか?
クセの強い作家も相手にし、原稿を受け取るために奮闘する姿が描かれるが、堂場さん自身は作家と編集者の関係をどう見ているのか?
「僕自身は作中のようなめんどくさい作家ではないと思っています(笑)。編集者には多様であってほしいし、その編集者がなにを求めているかを見て、合わせるというのが自分のスタイルになっているのかもしれません。
今作は、今までに比べて明るい話になりました。物語の終わりも、描き方も、少し変化してきたのかもしれません。それが時代の求める変化なのか、僕自身の考えが変わってきているのかは分かりません。このメディア史小説は、今後の展開もすでに着想があるので、ぜひ引き続き追ってもらいたいです」
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堂場瞬一さん本人による朗読も!
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