- 2015.02.25
- 書評
まるで心理ホラー!?
職場を蝕む“モンスター”
文:石川 弘子 (石川社労士事務所代表)
『あなたの隣のモンスター社員』 (石川弘子 著)
ジャンル :
#政治・経済・ビジネス
職場の人間関係で悩む人は少なくない。嫌味な上司や、意地悪な先輩、生意気な後輩……。人の価値観は様々だし、相性の良し悪しもある。どこの職場にも「いやな奴」や「困ったちゃん」はいるだろう。
私は社会保険労務士として、日々企業の労務相談に応じたり、就業規則の作成などを行ったりしている。その中で、ここ数年、しばしば衝撃的な事例に遭遇するようになった。
単なる「いやな奴」や「問題社員」とは全く異なる、まさに「モンスター」と呼ぶしかない社員についての相談が急増しているのだ。
モンスターは、放っておくと、職場や組織が崩壊するほどの影響を周囲に及ぼす。
「巧みに嘘をつき、自分が悲劇のヒロインになるよう周囲の人間関係をコントロールしようとする女優社員」
「困ったことがあると、親・配偶者が会社に文句をつけてくるお子様社員」
「感情のコントロールができず、すぐに怒鳴ったり、物を投げつけたりするパワハラ社員」
「自己愛が肥大して、虚言や自慢で塗り固める妄想ナルシスト社員」
「あり得ない理屈をつけて自分を正当化し、周囲の人間に迷惑をかけても、全く気にしないKY社員」
こういった、常識的には考えられない理解不能な言動で周囲を引っ掻き回す「モンスター社員」が今、職場を侵食しつつある。一歩対応を間違えれば「一人のモンスターが組織を滅ぼす」のである。
怖いのは、こうした「モンスター」は、えてして第一印象は良いことが多いことだ。「いい人」と思っていた同僚がある日突然豹変する。あるいは、巧みに隠していた裏の顔を見せる――。そのショックは当事者でないとわからないだろう。
普段は穏やかな経営者が「先生、たいへん! 助けて!」とパニックになって、私の携帯電話に電話がかかってくることが数知れずあった。原稿を読んだ編集者が「実話なのに、まるで心理ホラーですね」とため息をついたほどである。
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