書評

まるで心理ホラー!?
職場を蝕む“モンスター”

文: 石川 弘子 (石川社労士事務所代表)

『あなたの隣のモンスター社員』 (石川弘子 著)

1973年、福島県生まれ。青山学院大学経済学部経済学科卒業。石川社労士事務所代表。特定社会保険労務士、産業カウンセラー、セクハラパワハラ防止コンサルタント。
労働・社会保険手続き代行、就業規則作成等の他に、中小企業から上場企業まで、様々な企業の労務相談を受けている。また、産業カウンセラーとして、企業のメンタルヘルス対策などにも携わる。
http://www.ishikawa-sk.com/

 さらに事態を難しくしているのが、日本の労働法では、従業員を解雇することは容易ではないということだ。意外に感じるかもしれないが、誰もが異常だと感じる「モンスター社員」を目の前にしても、企業は具体的な対策を講じることができず、腫れものにさわるかのような対応しか取れないのだ。結果として、社内の空気が悪くなり、周囲の人間もストレスをため、疲弊していく。労務管理の専門家である私自身も、対応についてのアドバイスをする際に頭を抱えてしまうケースが少なからずあった。

 このたび文春新書から『あなたの隣のモンスター社員』を出版したが、この中では、私自身が実際に遭遇した“モンスター”の実態を生々しく描き出してみた。手強いモンスターに対峙するために、理解しがたいモンスター社員の心理分析や、タイプ別モンスター撃退法を具体的に述べているので、ぜひ参考にしてもらいたい。

 一方で、会社側の勝手な言い分によって、まともな権利を主張しただけでモンスター社員扱いされてしまっているケースもある。様々な価値観や背景を持った人間が集まる職場では、会社側も社員も、お互いにルールを守ることが重要だ。仕事を通じて成長し、達成感を味わい、周囲の人間とそれを分かち合うのが、人としての喜びである。

 ある意味で、モンスター社員が現れた時は、職場について、また、仕事について考え直すチャンスなのだ。

 誰もが働く喜びを感じ、自分とは異なる価値観を持つ人とも認め合い、それぞれが能力を存分に発揮できる職場が増えることを私は心から願っている。誰もが多かれ少なかれ「生きづらさ」を感じる今だからこそ、これ以上“モンスター”を誕生させないような社会を目指すべきときではないだろうか。

あなたの隣のモンスター社員
石川弘子・著

定価:本体750円+税 発売日:2015年02月20日

詳しい内容はこちら


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