本の話

読者と作家を結ぶリボンのようなウェブメディア

キーワードで探す 閉じる
真山仁、『売国』を語る

真山仁、『売国』を語る

「本の話」編集部


ジャンル : #エンタメ・ミステリ

――彼女はその「現実」に大きく悩みますね。

 ええ。遙は「夢や希望」を抱いて宇宙開発に携わるわけですが、「夢や希望をどう守るか」というのもこの小説の大きなテーマです。社会は「夢や希望」を持って頑張った人たちに必ずしも報いるようにはできていません。むしろ綻びを見つけてそこで悪いことをする人たちも必ずいる。夢が破れた時に人はどうすればいいのか、そんなこともこの小説には詰め込みました。

――『売国』は「週刊文春」で今年の8月まで連載されたものをまとめたものですが、連載時から大幅な加筆・修正が行われました。

 連載終了時には、550ページぐらいだったのを単行本で360ページにまで縮めました。削る一方、新エピソードも新たに加え、結末も大きく変えたので、週刊誌連載から読んでいただいた方は、きっと驚かれると思います(笑)。

『売国』は私の長編の中では、もっとも短い小説です。小説にとって、ページをどんどんめくっていくスピード感というのはとても重要だと思っているんですが、連載の時は宇宙開発や検察内部の情報を入れ過ぎていて、小説としての回転速度が鈍くなっていました。削りたくないところもあったんですが、読み易さを考え、思い切って短くしたところもあります。

『売国』というタイトルに重々しい印象を持たれるかもしれません。でも、「あかねちゃんの遺体はどこにあるのか」「裏金リストに記された暗号の謎」、そして「売国奴は誰なのか」というように、今回は私の小説の中でも極めてミステリー色の強い作品でもあります。是非手にとっていただきたいですね。

単行本
売国
真山仁

定価:1,925円(税込)発売日:2014年10月30日

ページの先頭へ戻る