インタビューほか

映画「真夏の方程式」のプロデューサーに聞いた「活字の力、映像の魅力」

鈴木 吉弘 (映画プロデューサー)

『真夏の方程式』 (東野圭吾 著)

『真夏の方程式』 (東野圭吾 著)

東野さんも映像で見たかった!?

 そのかわり物語を補強するために入れたのが、湯川と犯人が対峙するシーンですね。原作では登場人物たちの回想や独白で事の真相が綴られるので、湯川の知るところではないけれど、〈福山=ガリレオ〉では湯川自身が解決していかなければなりません。

 またそれに続く父と娘がミラーガラス越しに向き合うシーンでは、互いを思い合う気持ちを原作より色濃く表現しました。

 ただ本当に面白い部分、事件を引き起こす家族が抱えている葛藤は、小説じゃないと深い部分は分からないと思います。僕ら――監督も役者も原作を読んでいるので、書かれている家族の心模様と、映像に齟齬はないはずです。でも映像ですべて伝わっているかというと、難しいですね。この家族はどうしたくて、何を大事にして犯罪に係わってしまったのか、という部分を描き切れていない。原作を読んでいなくても、家族が互いを思い、守り合うという気持ちは分かるので感動してもらえるけれど、複雑な話なので、小説を読み込んで映画を見ると、もっと泣けると思います。

 逆に映像ならではの魅力といえば、夏の風景、海、ペットボトルロケットの実験シーンでの昂揚感などですね。あれは、どうしても活字では描き切れない部分だと思います。ひょっとしたら東野さんも、映像で見てみたかったのでは、と思っています。映画では、海や夏の陽射しなどの情景が、ストーリーと同じくらい大事な場合もあるんです。

 この映画は、できるだけ忠実に、原作にあるものをきちっと映像化したいという気持ちで作っています。その点、東野ファンには喜んでいただけると思います。できれば原作を読んだうえで、映画を観ていただきたいですね。


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