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00年代バンドの解散事情 大山くまお

00年代バンドの解散事情 大山くまお

大山 くまお

『バンド臨終図巻 ビートルズからSMAPまで』 (速水健朗・円堂都司昭・栗原裕一郎・大山くまお・成松哲 著)


ジャンル : #ノンフィクション

 オーディション番組の企画で別々のバンドのメンバーがヘッドハンティングされて02年に結成されたロードオブメジャーは07年7月に解散。デビュー曲「大切なもの」が90万枚を売り上げたが徐々にセールスが下降、バンドを維持していくことは難しかったようだ。

 インディーズ時代から04年にメジャーデビューした後も地元の四国を拠点として活動していたジャパハリネットは07年解散。ボーカルの城戸けんじろはバンド解散後上京し、城戸けんじろ&ザ・トラッカーズとして活動中。

 ヒップホップ勢は離合集散を繰り返すのが特徴だが、01年にメジャーデビューし、紅白歌合戦にも出場したKICK THE CAN CREWは04年6月に活動停止。しかし、その後も中心メンバーだったKREVAをはじめ、メンバーたちはソロ活動を展開中。08年にはイベントで3人のMCが揃い、当時の曲を披露した。

 03年にデビューしたVo Vo Tauはヒップホップ、R&B系のアーティストが数多く登場する中、生音を強調したバンド形式で健闘したが06年に解散。シングル「裸~Nude~」はオリコン最高8位。解散理由は明らかにされていない。

 グループの寿命が短いアイドルの中でも、ハロー !プロジェクトはユニットの結成と解散を繰り返している。辻希美と加護亜依が04年5月に結成したW(ダブルユー)は加護の不祥事による謹慎処分によって06年2月に活動停止。予定されていたシングル2枚、アルバム1枚が発売中止になるという事態に陥った。辻は07年に時東ぁみらとギャルルを結成するが、デビューシングル発売前に妊娠によって脱退している。その後、ギャルルは活動を行っていない。

 現在、ヒットチャートを席巻しているアニソン勢の中では、堀江由衣が中心となって結成した声優ユニットAice5が06年5月にデビュー、07年9月に解散している。期間限定色が強かったが、ラストコンサートを横浜アリーナで行うほどの人気ぶりだった。

 変わった解散理由としては、05年に結成されたアコースティックバンド、無限マイナスが挙げられる。10年1月、メンバーの前川和磨が出会い系サイト詐欺に加担していたとして逮捕され、責任を感じた他のメンバーがそのまま解散を決断したのだ(前川は10年2月4日の時点で、処分保留により釈放)。

 少しだけ海外に目を向けてみよう。00年代の日本では洋楽の売り上げが大幅に減少していたため、00年代にデビューし、すでに解散しているにもかかわらず、日本で知名度を獲得した洋楽バンドは数少ない。

 そんな中、鮮烈な印象を残したのがイギリスのロックバンド、ルースターだ。02年に結成し、04年のデビューシングルが全英7位、05年のアルバムが全英3位を記録、日本でも単独公演を行ったが07年1月に解散した。同じくイギリスのポップパンクバンド、バステッドは02年にデビュー。本国では国民的な人気を得たが、メンバーのチャーリー・シンプソンが脱退を表明して05年1月に解散した。ダーティ・プリティ・シングスは元リバティーンズのカール・バラーが05年に結成し、06年のデビューアルバムは全英3位を記録するが、08年10月に解散した。

 4人組ボーカルグループ、ブルーは01年5月にデビュー、アルバムを全世界で700万枚売り上げる人気を誇り、日本でもライブツアーが行われるほどだったが、メンバーのソロ活動が忙しくなり04年に活動休止。09年4月に再結成が発表されている。

 日本でも爆発的なヒットを記録したものの一発屋的なイメージの強かった、t. A. T. u.(00年デビュー)と女子十二楽坊(01年デビュー)は、驚くべきことにいずれもまだ解散していない。

※本コラム内のデータは単行本刊行時のものです。

大山くまお(おおやま・くまお)

 

1972年愛知県生まれ。ライター、編集者。映画、音楽、アニメ、名言などについて取材、執筆を行なう。著書に『「がんばれ!」でがんばれない人のための“意外”な名言集』(ワニブックス)、『野原ひろしの名言 「クレヨンしんちゃん」に学ぶ幸せの作り方』(双葉社)、『名言力 人生を変えるためのすごい言葉』(ソフトバンク新書)などがある。

文春文庫
バンド臨終図巻
ビートルズからSMAPまで
速水健朗 円堂都司昭 栗原裕一郎 大山くまお 成松哲

定価:1,078円(税込)発売日:2016年12月01日

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