──本書『ハビビな人々――アジア、イスラムの「お金がなくても人生を楽しむ」方法』のタイトルに使われている「ハビビ」という言葉ですが、どのような意味でしょうか?
中山 アラビア語で、「最愛の人」とか、「仲のいい関係」という意味です。アラブの歌謡曲を聞いていると、歌詞によく出てきます。友達よりもう少し親しい感じで言われているんです。
──日本語に訳しづらい言葉ですね。
中山 そうなんです。「ハビビ」というキーワードは、イスラム社会に限らず、いわゆる発展途上国全てに通じる考え方だと思うんです。インフラが整備されていないというか、社会保険とか一切ないような国においては、それを補うためにまさに「ハビビ」的なコミュニケーション、身内で助け合うということが、やっぱり必要なんだなあと実感したんです。
──そもそもなぜ、アジア、イスラムの旅をしてみようと思ったのですか?
中山 物価が安いので、学生の頃から長期旅行に出かけてたんです。二〇〇五年の九月から二〇〇七年の六月まで、嫁とふたりで回ってきました。お金は本当に使いませんでした。ふたりで四百万円くらいですね。
──治安とか、交通の便が悪いのとかは大丈夫だったんですか?
中山 ええ、そのへんは。学生時代に不便な外国を数多く回ってきたので、慣れてますね。今回の旅では、嫁にも適応能力があったのに助けられましたね。まあ、特にケンカもなかったですし。
──二年間、外国に行きっぱなしということで、ビザの更新も現地でされて。本書にはその苦労も書かれています。
中山 一番苦労したのはインドのビザですね。カトマンズの在ネパール・インド大使館は、ビザの発給を待つ人で大行列なんです。朝六時に並ばないと、その日じゅうに受け付けてもらえない、といった感じで。とにかくお役所仕事的というか、一枚書類を書いて持っていくと、もう一枚書けと窓口で言われたりとか。そんなこんなで四枚くらいの書類を作ったら、今度は費用が何ルピーかかるからと言われたりとか……もう、最初に全部言ってくれって感じですよ(笑)。でも、ビザがもらえればまだいいほうなんです。ビザをくれないところがあるんです。それはサウジアラビア。実はサウジにはビザが取れなくて入れなかったんです。
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