2016.01.30 特集

最終回 坂口安吾「肝臓先生」の舞台にもなった伊東からポルトガルまで

『俳優・亀岡拓次』『のろい男』 (戌井昭人 著)

映画「俳優 亀岡拓次」とうとう本日、全国公開です! 原作の『俳優・亀岡拓次』『のろい男』の著者である戌井昭人さんに、物語のモデルになった土地やお店などをうかがってきましたが、今回が最後です。お楽しみください。

静岡・伊東――「まずいスープ」時代の父

 『のろい男』の第4話に出てくる「アイナメ 伊東」。伊東は父が一時、住んでいた土地です。「まずいスープ」に書いたような時期で(笑)。父は「はるひら丸」っていう船宿で働いていたんです。そこの海老フライがすごくでかいんですよ。

 伊東の防波堤は、僕が実際にアイナメを釣ったところです。そこに集ってるおっさんたちが、釣りに詳しいんです。1匹釣り上げたら「早く入れろ!」って急かされて。ほんとにぽんぽーん、って釣れるんで、びっくりしましたねー。

 その人たちに「戌井さん、1級船舶の免許、取りなよ」って勧められた父は、そのあと、船宿で船頭さんをやってたんですね。釣り船を出したり、船底が透明になってる観光船を操縦したりしてました。

 遊びに行ったとき、ベトナム船で父とワカメ採りに行きました。「ベトナム船だからよー」ってみんな言うのが、なんのことだかよくわかんなくて(笑)。

 伊東っていう土地はなんだか、いいんですよね。熱海だと観光地だけれど、ちょっとひなびているんです。坂口安吾も伊東に逃げてきて、ここを舞台に「肝臓先生」を書いています。亀岡も珍しく、安吾について考えてますが、劇団時代に誰かに読まされたんじゃないですかね(笑)。

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俳優・亀岡拓次
戌井昭人・著

定価:本体680円+税 発売日:2015年11月10日

詳しい内容はこちら

のろい男 俳優・亀岡拓次
戌井昭人・著

定価:本体1,350円+税 発売日:2015年11月14日

詳しい内容はこちら



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