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最終回 坂口安吾「肝臓先生」の舞台にもなった伊東からポルトガルまで

最終回 坂口安吾「肝臓先生」の舞台にもなった伊東からポルトガルまで

『俳優・亀岡拓次』『のろい男』 (戌井昭人 著)


ジャンル : #小説

都心――テレビ局と保育園

 第5話「カモナラブなんかではない 都心」はテレビドラマの話ですが、テレビ局といえば、六本木、赤坂のイメージです。バイク便のアルバイトをしていたことがあって、テレビ局の入ってるビルにもよく、配達に行ってたんですね。こっちは雨合羽みたいなの着てるんですが、シャツのボタンが胸元まで開いてるようなディレクターや女子アナと、エレベーターで乗り合わせてました。

 華やかな雰囲気の場所に、亀岡は行かなさそうですよね。行ってみたはいいけれど……みたいな感じですかね。

 撮影所とテレビ局って、なぜか雰囲気が違いますね。テレビは、華やかな世界に行きたい人が多くて、映画はつくりたい人が多いのかな。バブル期のプロデューサーのイメージかもしれませんけど(笑)。映画のほうが現場っぽいですもんね。その映画のために、俳優やスタッフが集合して、撮り終わると解散して、それぞれ次の現場へ散っていく。トラブルが起こると、その場その場で、まぬけに対応していかないといけないし。

 昔、世田谷の保育園で用務員のバイトしてたんですよ。朝から草むしりして、布団を干して、ニワトリに餌をやって。そこにはシャモも1羽、いたんですけど、実は鳥が嫌いで……。一度、小屋から放して、小屋の掃除をするんですが、シャモが怖くて、箒で威嚇しながら掃除してましたね。シャモには、保育園児も近づかなかったな。だって、目が恐竜みたいで怖いんですもん。なんで飼ってたのかな。誰か、近所の人が持ってきたのかな。

 ぼく自身は、栗林プロデューサーと違って、ニワトリをしめた経験はありません。首をくるくるっと回して折っちゃうのは、映画かなんかで見たのかな。しめたてのニワトリは、ネパールで食べて、すごく美味しかったです。

【次ページ】ポルトガル・ナザレ――写真紀行

文春文庫
俳優・亀岡拓次
戌井昭人

定価:748円(税込)発売日:2015年11月10日

単行本
のろい男
俳優・亀岡拓次
戌井昭人

定価:1,485円(税込)発売日:2015年11月14日

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