警察組織での女性の登用
堂場 いま女性の被害者対策のニーズも高まっていて、警察官に女性をもっと登用すべきという声もありますが、そのあたりはどうですか?
池田 いまは一生懸命やってます。女性警察官も現在8パーセントを超え、もう一息で10パーセントです。
堂場 でもまだ10パーセントですよね。
池田 これでもかなり増えてきていると思います。警察の場合、たとえば機動隊のようなセクションにはどうしても男性を配属しなくてはならないので、トータルで見て4割、5割にしろというのは、現実的に難しいんですよ。
堂場 ただ気をつけないと、女性が交通と総務・警務のほうに偏りがちになってしまうんじゃないでしょうか。今後、たとえば刑事部でもっと女性を増やそうという方向性はあるんですか?
池田 それはあります。二課、三課はけっこういますし、数字読みとか、女性のほうが根気よく仕事をやってくれますからね。
堂場 サイバー犯罪対策課とか、科捜研などでも活躍の場がありそうですね。例えば昔から、筆跡の専門家には女性が多い気がします。
池田 それこそ刑事総務課とか、各部とも総務課とつくところにもけっこういます。生活安全部、地域部、交通部あたりでは女性の管理職もどんどん出てきています。機動隊にも女性の副隊長がいますし、たとえば、光が丘署では、捜査一課の管理官から上がっていった女性が署長になっています。捜査一課の管理官をやったのは彼女が最初だったと思います。捜査一課で女性管理職が出てきたことは大きな前進です。
堂場 やはり捜査一課は、一番荒っぽく厳しい部署なので、そこで女性が活躍するというのは、今後のモデルケースとなりますね。東京は保育所の待機児童の問題も深刻ですし、子育てしにくいですよね。警視庁は地方出身者がけっこう多いと思うのですが、子供をどう育てるかはシビアな問題になっていませんか。
池田 おっしゃる通りです。昔は警察官同士の結婚だと、女性が辞めることが多かったのですが、いまそのパターンは減りました。じつは女性警察官の支援のため、以前警視庁の職員組合で保育所を作ったんです。ところが厚生労働省から待ったがかかってしまった。保育所として公認するためには児童を一般公募してくださいと。いろいろあって、職員専用の形では実現しなかったんですが。
堂場 昔は所轄に行くと、ベテランの女性をほとんど見かけませんでした。みんな早めにお嫁に行って辞めてしまって。最近は長く務めている人が結構いるんじゃないですか?
池田 いま、地方から出てきた警察官の子弟が警官になる例が増えていて、いわゆる2世が多いんです。そういう意味で、子育ての環境は以前よりはよくなってきました。
堂場 シングルファーザーで子育てをしながら仕事をしている警察官はいますか?
池田 離婚をしている人はいますが、たいてい奥さんのほうが子供を引き取っているようなので……、そういうケースはまだ私は聞いたことがないですね。
-
『赤毛のアン論』松本侑子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。