インタビューほか

特別対談
池田克彦(第88代警視総監)×堂場瞬一

「本の話」編集部

『親子の肖像 アナザーフェイスØ』 (堂場瞬一 著)

海外と日本の警察組織の違い

堂場 最近、海外の警察のことを調べているのですが、たとえばアメリカだと普通に警察に組合があったりして、警察活動が日本とはかなり違います。金曜日に殺しが起きても土日は休んでしまう。「え、行かないの?」と驚くのですが。

池田 そうですね。ロサンゼルス市警の土日の受付をしてる人はボランティアですからね。

堂場 どちらかというと民間の警備会社に近いような感覚もあると聞きます。あと最近知ったんですが、ドイツは地域によって警察のシステムがまったく異なります。今度ドイツに行くので、そのあたりを詳しく取材するつもりですが。

池田 ドイツは連邦警察がありますね。

堂場 はい、それなのに各地域によって警察のシステムが異なり、階級の仕組みもよくわからないんです。僕らが慣れ親しんだ日本の警察の仕組みは、世界の中で比較すると、システム的には非常に効率的だと再認識しました。

池田 警察が全国で一元的な組織になっている国は少ないですからね。アメリカは州によって全然違うし、公園には公園警察っていうのがありますし。

堂場 大学の警察もありますね。

池田 そう、細分化されています。アメリカではわりと最近まで、全国の警察統計すらなかったんです。その数だって年間殺人で何人亡くなったか正確なところがわからない、州によって統計の取り方もさまざまですから。

堂場 だから未解決事件が多いのでしょうか。最近、北欧のミステリを読んでいたら、「4時だから帰るか」といった刑事の台詞が普通に出てくるんですね。そうやって比べると、日本の警察はずいぶん働いている。日本人全体がサービス残業大好きですからね。ではワークライフバランスといった時に、「4時になったら帰る」「土日だから殺人捜査はしません」というのが果たしていい世界なのか? いつも悩んでしまうんですよ。

池田 やはり人の命のかかった仕事は定時外でもやる、というのが正しい姿だと私は思います。

堂場 そうでないと、市民は不安でしょうがないですからね。

池田 ただ、ある捜査一課の女性刑事が、「男はなんでサッサと帰らないんだ」とぼやいていましたよ。捜査会議が終わって帰ろうとしたら、みんなが集まってビールを飲みながらグズグズ言ってて、「あんたたちが帰らないと私も帰れないじゃないか」って(笑)。

堂場 飲みたいなら、外に出て飲めと(笑)。

池田 好きで残ってるやつはいいんですけどね。ただ、そういう時の雑談で、意外と隣の班が何やってるのか把握したりもするんです。捜査に活きている面もあると思いますよ。

堂場 普段のコミュニケーションがなく急に現場に放り出されても、同僚のことがわからないですしね。グズグズ飲みの効用もあるわけですね。

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親子の肖像 アナザーフェイスØ
堂場瞬一・著

定価:本体550円+税 発売日:2014年10月10日

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