誰もが知る十津川警部の誕生から40年。その作者である西村京太郎さんは、いまでは廃線となったブルートレインや知る人ぞ知る地方列車まで、ありとあらゆる鉄道に乗車して取材を重ねてきた。しかし、そんな西村さんにとっても、九州を走る豪華クルーズトレイン「ななつ星」は初体験。果たしてどんな新発見があったのか――。
――日本中の列車を舞台に書かれてきた十津川警部シリーズですが、「ななつ星」は今回の作品が初めての登場です。
以前からJR九州はいろいろと面白い列車を走らせていて、たとえば「ゆふいんの森」や「SL人吉」といった電車には、僕も乗りましたし、十津川作品にも書きました。それぞれによく工夫されていて感心しましたよ。「ななつ星」はそういった試みをしてきたJR九州が力を入れて、デザイナーの水戸岡鋭治さんが設計した豪華列車でしょう。開業の時からずっと乗りたいと思っていたけれど、とにかく予約が困難で、取材がなかなか出来ませんでした。
今回は旅行会社が主催の1泊2日のコースにキャンセルが出たらしく、それを出版社が一生懸命に手配してくれた結果、無事に乗客として、2014年2月に「ななつ星」を体験してきました。非常にラッキーでしたよね。
――実際にご乗車になっていかがでしたか?
是非とももう一回乗りたいですね。奥さんからも「今度は3泊4日の日程でね」と今でも毎日のように言われているくらいで(笑)……何が良かったかと言われると、列車の豪華な造りや、洗面鉢が柿右衛門という細部までのこだわり、九州の素材を活かした料理なども想像以上に良かったんですが、一番、心に残っているのはそのホスピタリティです。
地元の九州の皆さんが、列車が通ると我々に向かって手を振ってくれたり、停車駅のホームでは地元の中学のブラスバンドの皆さんが、我々のために演奏を披露してくれたり。そして車内でのクルー(乗務員)の方々の心配りも素晴らしく、たとえば夜になるとラウンジカーでバイオリンとピアノの生演奏があるんですが、乗客のリクエストに何でも応えてくれてね。僕は好きなジャズを、奥さんは美空ひばりをリクエストして、それも存分に堪能しました。
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