インタビューほか

東大卒、20年間無職、
月の生活費3万円の不思議な日常

「本の話」編集部

『年収100万円の豊かな節約生活術』 (山崎寿人 著)

山崎寿人さんは、一日の食費500円、一ヶ月の生活費3万円で、20年間も定職に就かず生きてきました。プータローを自称する山崎さんですが、日々の生活はどのようなものなのでしょう。朝から晩まで密着して体験してみると……。

――お料理に熱中しはじめたのはいつ頃からですか?

山崎  家にいる時間が長くなった30代後半からですね。ちょうどその頃、勤め人時代の蓄えも底をつき、経済的に逼迫してきたという事情もあります。それでも、3食インスタントものなんてとんでもないという性質ですから、自然と「安い食材で名店の味に迫ろう」という方向に傾いていったのだと思います。で、世界の名物料理を作ろうとスパイスを集め出したら、この通り(とダンボール箱に詰まった50種類以上のスパイス群を出してくる)。ただしこれらも、ほとんどがポイントを貯めて手に入れたものですけどね。

――北インドとスリランカ風のカレー4種類にポルサンボル(スリランカ風ココナッツのふりかけ)、バスマティーライス、ナン、カジキマグロとディルのベトナム風ターメリック炒め、海老と卵のタイ風カレー炒めと、居ながらにしてアジア旅行をしたような気分です。これらが一人前1000円弱でできるとは信じられないですね。お友だちにお店をやらないかと勧められるのもよくわかります。

山崎  お店は毎日定時に開けなければならないから、僕のように自由気ままな人間には無理ですよ。その代わりに、我が家でパーティーをするようになりました。友だちは僕のコース料理を楽しみにやってくるし、僕にとっては料理の研究発表の場であり、社会との窓でもある(笑)。そのうえ彼らが差し入れてくれる高級なお酒も飲めて、いいことばかりです。

安定を捨てて自由を選んだリスク

――山崎さんの日常にはストレスが皆無のようですが、時には経済的な不安を抱くことがありませんか?

山崎  幸い僕の場合、親が遺してくれたアパートの家賃収入が年間100万円ありました。しかしそれも維持費がかさみはじめたので、昨年一千数百万円で売却してしまいました。定収入はなくなり、これからは貯金を切り崩して生きていくわけですから、不安がないといえばウソになります。でもいざとなれば、本にも書いたように色々なアルバイトがありますし……。僕は安定を捨てて自由を選んだわけですが、その分リスクがあるのは仕方のないところだと思っています。

――周囲から「せっかく東大を出て一流企業に入ったのにもったいない」という声が聞こえてきませんか?

山崎  20年間、耳にタコができるほど聞いたセリフです。そういう価値観があることはよく承知していますし、否定するつもりもありませんが、僕にとっては別世界のこととしか言いようがないです。僕のような生き方はとても皆さんにおすすめできるようなものではありません。編集者に乗せられて書いてはみましたが、僕自身はいまだにこんなことを本にしていいのかと、面映い気分です。

――山崎さんに向けられた「どうやって暮らしておられるのですか?」という疑問が、『年収100万円の豊かな節約生活術』の出発点です。どんな事情があるにせよ、人は生きていかなければなりません。山崎さんの試行錯誤には、生活のやりくりに苦心する若い人や時間に余裕ができた年配の方にも参考にしていただきたい智恵が詰まっていると思います。

山崎  お金、地位、社会的評価、そして家庭と、私が手にできなかったものはたくさんありますが、こんな生活を20年も続けてこられたのは悪くなかったなと思います。

年収100万円の豊かな節約生活術
山崎 寿人・著

定価:1150円(税込) 発売日:2011年06月25日

詳しい内容はこちら

やってみました!「年収100万円の豊かな節約生活術」
春原 弥生・著

定価:840円(税込) 発売日:2012年07月07日

詳しい内容はこちら   特設サイトはこちら


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