
生贄(いけにえ)伝説のある沼と、神が棲(す)む奥深い山。中腹の赤い鳥居から先は、人間が立ち入ることを禁じられた場所――。
24歳の若き作家が放つ待望の新作の舞台は、懐かしさと、かすかな不安を掻き立てられるような日本の原風景だ。ヒロイン・志帆(しほ)とともに山奥に招き入れられた読者は、神と人間、記憶と謎をめぐる新鮮なファンタジー世界にたちまち魅了される。
「作家という職業の存在を知った小学2年生の時から、必ず作家になると決めていました。中学生の時に荻原規子さんの“勾玉(まがたま)三部作”や上橋菜穂子さんの『精霊の守り人』を読んだ後は自分も日本のファンタジーを書こうと思い、最初は〈妖怪〉をモチーフにしようかとも思ったのですが……高校2年生の時、“生贄の儀式に捧げられた女性が、自分を殺すかもしれない幼い神様を育てる”という設定が浮かび、八百万(やおよろず)の神さまについての本で、玉依姫命を見つけました。でも当時は文章の表現力も知識も足りなくて、新人賞に応募しても全然駄目でしたね」
そこから阿部さんは大学で神話の成り立ちやアジアの歴史を学び、「玉依姫」から派生して生まれた物語『烏(からす)に単(ひとえ)は似合わない』で在学中に作家デビューを果たした。
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