2015.07.08 書評

恐竜の研究=古生物学は探偵学なのです

文: 土屋 健 (サイエンスライター)

『ティラノサウルスはすごい』 (土屋健 著/小林快次 監修)

家族で「ティラノサウルス」を楽しんで

 さまざまな化石を扱う古生物学の中で、「恐竜」は「フラグシップ」ともいえる存在です。「古生物学」という学問ジャンルを聞いたことはなくても、「恐竜」という言葉であれば、おそらく誰もが知っていることでしょう。その恐竜の中でも、とりわけティラノサウルスは圧倒的な存在感を放ち、最も研究が進んでいる恐竜の一つとなっています。この恐竜は、プロ・アマを問わずに、世界中の人々から愛されているのです。

剣竜類ステゴサウルス(左)と鎧竜類アンキロサウルス(右)
角竜類トリケラトプス

 本書では、ティラノサウルスに関するさまざまな情報をまとめ、紡いでいます。「超肉食恐竜」と言われるティラノサウルスのスペック、くらし、進化など、古生物学者たちが解き明かしてきたその“姿”をお楽しみいただけることでしょう。そして、ティラノサウルスを軸に、恐竜全般や古生物学のもつエンターテイメントとしてのサイエンスを味わって頂ければと思います。

 すべてのサイエンスの分野にいえることですが、古生物学もまた日進月歩で進んでいます。もちろんティラノサウルスに関しても同じことがいえます。かつて『ジュラシック・パーク』で描かれたティラノサウルス像は、現在ではそのすべてが正しいとされているわけではありません。この愛すべき恐竜の現在を、ぜひ、本書でご確認ください。

 また、こと恐竜に関しては、ともすれば、お子さんの方が知識が豊富です。お子さんのもつ貪欲な好奇心や探究心をもってすれば、本書をご家族で楽しんで頂けることでしょう。「恐竜のことはよく知らないけれど、ティラノサウルスなら聞いたことはある」というみなさんを、「ティラノサウルスのことであれば、知っているよ!」に変える1冊です。史上最強恐竜の世界をご堪能ください。

イラスト=えるしまさく

小林快次(監修)
日本では数少ない恐竜化石を専門とする研究者。1971年、福井県生まれ。ワイオミング大学地質学地球物理学科卒業。サザンメソジスト大学地球学科で博士号を取得。現在、北海道大学総合博物館准教授、大阪大学総合学術博物館招聘准教授。著書に『恐竜時代I』、共著書に『日本恐竜探検隊』などがある。

土屋健
サイエンスライター。2003年、金沢大学大学院自然科学研究科博士前期課程修了。専門は地質学、古生物学。2003年、ニュートンプレス編集部に入社。2011年に退社し、2012年オフィスジオパレオントを設立。地質学や古生物学の面白さをわかりやすく伝える著述を発表しつづけている。著書に『大人のための「恐竜学」』「生物ミステリーPRO」シリーズなどがある。

ティラノサウルスはすごい
土屋健・著/小林快次・監修

定価:本体830円+税 発売日:2015年06月19日

詳しい内容はこちら



こちらもおすすめ
書評中間種は存在しないという虚妄を覆す(2014.11.27)
特設サイトクリストファー・ロイド 『137億年の物語』(2013.07.11)
書評理系・文系の垣根を超えて歴史を俯瞰、 今最も求められる力が 知的興奮とともに得られる(2012.09.07)
書評誰がカオス理論を破れるか(2010.02.20)
書評常識はずれの生き物たちの進化史(2008.02.20)
書評炭水化物は人類を滅ぼさない(2015.02.03)
インタビュー・対談「生きる力」を育くむ ヒントは、進化の順番にあり(2014.11.13)