家庭料理のカリスマ、小林カツ代さんが亡くなられて1年。NHK「きょうの料理」の特集やムック、文庫の刊行など、再びブーム到来の兆しが。文春新書新刊『小林カツ代のお料理入門』にご協力くださった、弟子であり料理家の本田明子さんにカツ代さんの思い出を語っていただきました(聞き手:「本の話」編集部)。
――本田さんは通算32年間、独立されてからも小林カツ代さんと一緒にお仕事をしていらしたそうですね。
本田 とにかく小林カツ代が次に何をやるか見たい、その一心です。先生は92歳まで生きる予定で(笑)、死ぬまで面白いことしようね、と話していました。やることが多すぎて寝るのがもったいないと1日3時間しか眠らなかった。それで倒れてしまったのかなぁと思い、私はしっかり睡眠時間を取るようになりました。
――カツ代さんがクモ膜下出血で倒れたのは2005年の6月でした。
本田 昨年亡くなるまで8年半あまり闘病生活を送りました。
闘病中も面白い話が大好きで、ダジャレを仕入れて披露すると、楽しそうに笑ってくれるので、お見舞いに行くたびにネタ集めをしていましたね。
――『小林カツ代のお料理入門』の元になったのは、2003年に刊行された文春新書『実践 料理のへそ!』です。
本田 そう、文字だけのエッセイ本としては最後の仕事となりました。小林が思いつくままにしゃべったものを、気心の知れたライターの池田葉子さんが忠実にまとめてくださったものです。編集者が男性だったこともあり、料理をあまりしたことのない人にもハードルの低い入門書となっています。今回は、再構成して、カラーの料理写真と分量、詳しいレシピを掲載し、本のタイトルも変えました。
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