これはリターンマッチである。
本書『復活祭』で展開する物語は、馳星周が二〇〇三年に発表した『生誕祭』(文春文庫・上下)の続編として描かれている。
『生誕祭』は、地上げによる金儲けに奔走し、自らの王国を築こうとした者たちをめぐるクライム・ノヴェル。舞台になっているのは狂乱のバブル経済が絶頂期をむかえた八〇年代の東京だ。あの手この手で土地を買いたたき何倍もの値段で売りさばいたり、ライバルや敵対する連中を出し抜き破滅させようと企んだりするだけではなく、ときに身内や恋人さえも利用し、欺き、果ては切り捨てていく。目的のためには手段を問わない。状況次第で協力と裏切りは紙一重なのだ。そして膨れあがったバブルが破裂目前と噂されるなか、壮大な「ババ抜き」合戦が繰りひろげられる。自分だけは最後のジョーカーをつかむまいともがきつつ、みな地獄へと堕ちていくのだ。
それから十年がすぎ、バブル経済は崩壊したものの、IT関連企業に高い株価がつくという異常な時代が訪れた。いちどはすべてを失って抜け殻のようになった連中が文字通り復活を遂げ、ITブームに乗じ、新たな経済ゲームを仕掛けていく。それが『復活祭』はじまりのストーリーだ。『生誕祭』における主要人物の大半が再登場している。
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