- 2018.04.21
- 書評
活躍の場を広げる著者が、圧倒的な説得力で描く、仁義なきスクープ合戦。
文:内田剛 (書店員)
『トリダシ』(本城雅人 著)
出典 : #文春文庫
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
平成二十九年十二月。年も暮れようとしていたある日の夜、僕は東京のど真ん中にあるオフィスビル地下の居酒屋にいた。仕事納め、忘年会のビジネスマンも明らかに多く、いつにない賑わい。某出版社の誘いで作家、編集者、書店員あわせて十名の男子会。僕の斜向かいには本城雅人(敬称略にてすみません)! 参加したメンバーも最高に良く、繰り広げられる話も楽しく、まさに至福のひととき。最新刊の単行本『代理人』(実業之日本社)と、第三十八回吉川英治文学新人賞受賞作でありTVドラマ化でも話題となっている文庫『ミッドナイト・ジャーナル』(講談社)が出たばかり。酔った勢いで「ぜひウチのお店、神保町に来てください!」と誘いをかけてしまった。こういう話、とくに酒の席ではうやむやになるものだが、さすがは本城雅人。裏切らない男。年明け早々に訪問を実現させてくれた。
堂場瞬一、真山仁、塩田武士……新聞記者出身の作家の活躍は目覚しい。綿密な取材に裏付けられた雄弁としか言いようのない図抜けた筆力もさることながら共通して言えるのは書店店頭という現場、そして実際にお客様を前にして作品を売り続ける書店員を大事に思う姿勢である。
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