吉村明高という五十代の友人がいる。彼は福井市で映写用のプロジェクタースクリーンを製造販売する会社を経営していて、とても成功している起業家だ。しかし成功には甘んじず、日夜いろんなことを研究している。しばらく前も、自宅でバーベキューを楽しんでいるときに「バーベキューコンロの後片付けはとても面倒くさい。これを楽にする方法はないだろうか」とふと考え、そこから試行錯誤しながら新しいバーベキューコンロの開発に乗り出した。ほとんど毎日のように肉を焼いて食べて実験し、最終的に超軽量のコンロを完成させた。アルミの脚とトレイの上に、百円ショップで購入できるアルミ深皿を乗せて炭をおこし、食べ終わった後は冷やして深皿を丸めて捨てるだけで済むというコロンブスの卵的な製品。「バーベキューグリルコンロ『洗うものがないんです』」という人を食ったような名前をつけてアマゾンで売り出したところ、売れ行き好調だという。
「炭の温度でアルミの脚やトレイが曲がらないかなど綿密に計算したので、大量に肉焼いて実験して本当大変だったよー」
と、吉村は実に楽しそうに話すのである。こういう創意工夫とビジネスを、そのまま生活の楽しさにつなげている人が福井には本当に多いと感じている。
こちらもおすすめ
プレゼント
-
『赤毛のアン論』松本侑子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。