インタビューほか

【特別対談】林真理子×髙見澤俊彦「小説から音が見えてくる」#1

オール讀物2018年8月号より

同じ年に生まれ、同じ街で青春時代を過ごした二人が語りあうあのころの東京、音楽、そして小説のこと。オール讀物8月号に掲載された対談を3回にわけてお送りします。

『音叉』(髙見澤俊彦 著)

髙見澤 いえいえ、創作です。書き始めたときは死んじゃうのかなと思いましたけど、あまりにかわいそうなので、生き返らせました(笑)。

 すごいですね。ちゃんとストーリーを作っていらして。

髙見澤 編集の方に「書いているうちに人物が動き出しますよ」って、謎かけのような言い方をされていたんですが(笑)、本当に書いているうちに、だんだんと人物像が動いていきました。

 ひとつ要望があるとすれば、女性とのシーンにまだ照れがある。それこそ龍さんみたいにグイグイいかないと(笑)。ファンもいるから、そこまで書けないのが辛いでしょうけど。

髙見澤 いやいや。そこはファンを意識したわけではなくて、自分の照れです。一回書いては、これはやり過ぎかなと意識的に書き直したりしました。

 雅彦の周りにいる女性たちは、当時としてはすごく進んでいる。そんな彼女たちがどれだけ奔放か、ベッドの上の描写がもうちょっとあれば、彼女たちの魅力がもっと伝わったと思う。

髙見澤 勉強になります(笑)。「主人公の雅彦は自分ではない」と思いつつも、自分のたどってきた青春時代が出てくる。そこで自分と照らし合わせないようにすればするほど、逆に照れくさくなるのって何なんでしょうね。そもそも、出てくる女性はみな架空の人物なのに。

 作家になる人って、そういう照れが薄い人。私も「よくあんなこと書けるね」って言われるけど、「え、なんで?」って思っちゃう。そういう鈍感さが作家には必要なんです。髙見澤さんもこの世界の仲間入りをしたからには「もう何でもいいや」ってならないと。

髙見澤 わかりました! 今日から照れを一枚ずつぎ取っていきます(笑)。

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音叉髙見澤俊彦

定価:本体1,700円+税発売日:2018年07月13日


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