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【特別対談】林真理子×髙見澤俊彦「小説から音が見えてくる」#3

【特別対談】林真理子×髙見澤俊彦「小説から音が見えてくる」#3

出典 : #オール讀物
ジャンル : #エンタメ・ミステリ

『音叉』(髙見澤俊彦 著)

髙見澤 それはすごいなぁ。決まった場所で書かれていると思いました。

 仕事場はありますけど、テレビを見ている子どもの横の、ダイニングテーブルで書いたり。

髙見澤 えぇ!

 それも官能的なシーン。

髙見澤 すごい! 才能ですねぇ。

 だから、ダイニングで話しかけられても答えられない。子どもに「人の話ちゃんと聞いてない」って叱られながら書いてます。

髙見澤 林さんのデビュー作『ルンルンを買っておうちに帰ろう』も発売直後に、ツアー中にホテルで読んだのを覚えてます。ひとつ伺ってみたかったのは、以来たくさんの作品を出される中で、どうやって書き分けているんですか。

 それは、ミュージシャンの方と同じですよ。みなさんが曲を作るみたいに、私も一生懸命湧き出るものをなんとか文字にしていく。それだけですよ。

髙見澤 作品の発想というのはポーンと出てくるもんなんですか。

 人に会ったりしながら、「こういうの書きたいな」ってことを温めておく。作家は受注産業ですから。それで、注文が来たときに「こういうもの書きたいのだけど」と言うときもありますし、編集者が企画を出してくれることもあります。

髙見澤 銀行マンの家族の崩壊を描いた『聖家族のランチ』なんて、もうすごい描写だなと。こういう作品も書かれるんだと。ショッキングな展開で、ドキドキしながら読みました。

 ありがとうございます。あの作品は、途中でどうしていいのか分からないから、もうヤケクソで(笑)。
髙見澤 読んでいて「えぇ、マジ?」という感覚になりました。

 ちょうどそういうものが書きたい時期があった。いま本が売れない世の中なので、いろんな変化球を投げてみる、という感じですね。だから、髙見澤さんのような、ほかの分野で認められている人が小説に参入して、才能を見せつけてくれるのは、私たちにとっても刺激的。負けられないなって思いますよ。

髙見澤 いえいえ、とんでもない。最近本を読まない世代が増えているのは、自分としては淋しい。やっぱり読んでもらいたいですね。

 『音叉』も髙見澤ファンにプラスして、私たちの世代より若い人にも読んでもらえたらいいですね。次回作の構想はあるんですか?

髙見澤 警察小説もよく読むので、雅彦の兄が司法試験に受かって検事になるという話なんてどうだろうかと思ったり、僕の兄が以前にドイツに駐在していて、何度も行ったことがあるので、壁のあった頃のベルリンとかも知っているんです。そういう海外を舞台にした話を書いても面白いかなと思っています。

 村上龍さんの描写が注目を浴びたのは美大生らしい色彩感覚が新鮮だったから。音楽をやる方にも、他の人にはかなわない描写というものがあると思うんですよ。

髙見澤 そこは頑張りたいですね。次は照れずに大胆に、書いてみようと思います(笑)。

こちらのインタビューが掲載されているオール讀物 8月号

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音叉
髙見澤俊彦

定価:本体1,700円+税発売日:2018年07月13日

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髙見澤俊彦

発売日:2018年12月22日

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