インタビューほか

構想12年の力作、冲方丁長篇ミステリー『十二人の死にたい子どもたち』に込めた想いとは──後編

「別冊文藝春秋」編集部

2019年1月、映画化決定!

『天地明察』や「マルドゥック」シリーズで知られる冲方丁さんの『十二人の死にたい子どもたち』。直木賞候補作にもなったこの作品が、このたび堤幸彦監督により映画化されることになりました。それにあわせて、単行本刊行時のインタビューを前・後編でお届けします。

単行本刊行時のインタビューです

前編よりつづく

 

時代と筆力がやっとクロスした

冲方 この話には「時代」という要素も重要で、集いにやってくる子どもたちはどうしても「普通の子どもたち」にしたいと思っていました。さらに、彼らにあらかじめ接点がないようにもしたかった。最初から距離の近い子ども同士でシンクロし合って、あるいは逆に自縄自縛し合って「一緒に死ぬしかない」と心中を試みるのは違うなと。

 まったく関係のない場所で生きている、属性の異なる子どもたちがインターネットを介して集まることが容易な世界じゃないと、この物語は成立しない。

 構想を始めた頃、ちょうどネットの掲示板から広がった「電車男」が話題を集めていて、「ああ、コミュニケーションの質が変わったな」と感じていました。その時点で、チャットのような会話だけで物語が進んでいく、いわば戯曲みたいな小説が書きたいと思っていて、それなら『十二人の怒れる男』みたいなやつがいい、登場するのは子どもたちだけで……とそこまでは考えていたんです。ただ、その子どもたちを通して、どんな社会が浮かび上がるだろうと想像して、うーん、と考え込んでしまった。そこにあるのは、特殊な世界と言わざるを得ない気がして……。

 よくホラー映画なんかで面識のないメンバーが集められたように見えて実は過去に接点があったとか、知られざる共通の「罪」が見つかったなんてことがあります。そういう構造だと、その罪とはなんぞやというのが謎になってしまうし、今回はそういう共通点をあえて持ち込みたくなかった。



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