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人は食べている時にスキが出来る。共感も驚きもいっぱい!不思議なごはん本

人は食べている時にスキが出来る。共感も驚きもいっぱい!不思議なごはん本

文:本上まなみ (女優・エッセイスト)

『君がいない夜のごはん』(穂村 弘 著)

出典 : #文春文庫
ジャンル : #随筆・エッセイ

『君がいない夜のごはん』(穂村 弘 著)

 虫が湧いたお米のカレーライスのお話とか、ヨーグルトにシリアルを入れて食べ出し、途中ヨーグルトがなくなったので援軍として牛乳を足して食べるという「ぐだぐだヨーグルト」のお話とか、死ぬ前に最後に食べたくなるものが「子供の頃駄菓子屋で食べたクッピーラムネ」とか……。

 これらのエッセイ、初出がすべて料理雑誌だそうで、それ自体が、ある意味すごい挑戦だなと思います。

 穂村さんの『世界音痴』(2002年、小学館)を初めて読んだとき、回転寿司の話のくだりで、

《実はさっきからウニが食べたいのだが、食べたいものを云うのがためらわれる。そうかあいつはウニが食べたいのか、とその場の全員に知られるのが、恥ずかしいのである》

 という文に驚いたものです。

 それのどこが恥ずかしいのでしょう? 私はウニが食べたいときは「ウニください」と言う。コハダのときは「コハダ」と言い、おいしかったら「もうひとつ」とおかわりし、おなかが空いているとき声はやや大きくさえなる。でも、そうじゃない人もいるのですね。お寿司屋さんのカウンター席、私の隣にそんなことでウツウツと思い悩んでいる人、恥ずかしがっている人がいるかもと想像すると、ちょっとぞわ、とする。

文春文庫
君がいない夜のごはん
穂村弘

定価:836円(税込)発売日:2019年02月08日

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