虫が湧いたお米のカレーライスのお話とか、ヨーグルトにシリアルを入れて食べ出し、途中ヨーグルトがなくなったので援軍として牛乳を足して食べるという「ぐだぐだヨーグルト」のお話とか、死ぬ前に最後に食べたくなるものが「子供の頃駄菓子屋で食べたクッピーラムネ」とか……。
これらのエッセイ、初出がすべて料理雑誌だそうで、それ自体が、ある意味すごい挑戦だなと思います。
穂村さんの『世界音痴』(2002年、小学館)を初めて読んだとき、回転寿司の話のくだりで、
《実はさっきからウニが食べたいのだが、食べたいものを云うのがためらわれる。そうかあいつはウニが食べたいのか、とその場の全員に知られるのが、恥ずかしいのである》
という文に驚いたものです。
それのどこが恥ずかしいのでしょう? 私はウニが食べたいときは「ウニください」と言う。コハダのときは「コハダ」と言い、おいしかったら「もうひとつ」とおかわりし、おなかが空いているとき声はやや大きくさえなる。でも、そうじゃない人もいるのですね。お寿司屋さんのカウンター席、私の隣にそんなことでウツウツと思い悩んでいる人、恥ずかしがっている人がいるかもと想像すると、ちょっとぞわ、とする。
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