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「上下」から「水平」に

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──会社員は消え、個人が連帯して働く時代がやってくる


ジャンル : #小説

問題の未来予測をしている

『会社員が消える』大内伸哉 著

──この本をお読みになった率直な感想をお聞かせください。

青野 いま浮上している働き方に関する様々な問題を網羅した上で、それらに一本、筋を通していると感じました。私が書くと経営者の視点に偏りがちで、働き方の歴史的な変化や、大企業に関する記述が欠けてしまう。一方で大企業の視点で書かれたものは、法的な観点や、個人自営業者への目配りがない。それがこの本では全体的に網羅されていますし、これらの問題点が体系的に位置づけられている。
 働き方について関心のある人は、みんな読んだほうがいいと思いますよ。

大内 ありがとうございます。

大内伸哉教授 1963年生まれ。神戸大学大学院法学研究科教授。労働法の第一人者で、AIの活用やデジタライゼーションなどの技術革新がもたらす雇用への影響や、テレワーク、フリーランスのような新たな働き方の広がりにともなう政策課題を研究している。

青野 私も経産省などの審議会に呼ばれますが、この本で理論武装できますね。とくに個人自営業者に触れている箇所は重要で、これは問題の未来予測です。現在の働き方改革議論は、大企業の長時間労働や、正規・非正規の格差に焦点があたっていますが、将来的には、会社員と自営業者の見えざる格差についての問題が浮上してくるはず。そうした将来の課題をこの本は指摘しています。
 サイボウズのように、副業を自由にしてフリーランス的な働き方を進めていくと、どうしても、その問題に行き当たる。いまはフリーランス型への法的サポートがないのです。

大内 まさにそうで、将来的に、会社員という組織の一員ではなく、個人として働いていく形態になったとき、それに対応する政策や法的サポートがない。だから、「このまま対応策がなくて大丈夫ですか?」という問題提起をしたわけです。その点に反応していただいたのは、著者としては非常にありがたいです。

青野 そこをピンポイントで指摘していることは、さすがだと思いました。フリーランス型に対するセーフティ・ネットが弱いため、自立的な働き方が阻害されてしまう。その結果、社会の変化を止めてしまうし、人材の流動性を弱めることになる。政府はもっと先手をとって対策を講じなければならないと、この本を読んで感じました。

【次ページ 「雇われる」働き方は減っていくのか?】

文春新書
会社員が消える
働き方の未来図
大内伸哉

定価:968円(税込)発売日:2019年02月20日

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