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新版のための訳者あとがき(のようなもの)『デカルトからベイトソンへ──世界の再魔術化』 モリス・バーマン 著/ 柴田元幸 訳

新版のための訳者あとがき(のようなもの)『デカルトからベイトソンへ──世界の再魔術化』 モリス・バーマン 著/ 柴田元幸 訳

文:柴田元幸 (翻訳家)


ジャンル : #ノンフィクション

『デカルトからベイトソンへ――世界の再魔術化』(モリス・バーマン 著/ 柴田元幸 訳)

 本のメッセージはともかく、それよりずっと些細な話として、訳文が古びていないかも訳者としては気になるところである。が、ほとんどひとごとのように言わせてもらうなら、再読してみて、この点もまあ大丈夫かなと思った。特に序章~第一章あたりは、「紹介」も書いてくれている佐藤良明さんが三十年前に丹念に赤を入れてくれたので(記憶では赤のみならず、七色の色鉛筆で──色には特に意味もなく──びっしり書き込んでもらったように思う)、おかげで六〇年代的なこの本の熱さが、いまもストレートに伝わってくる。

 この本は佐藤さんから翻訳を任された本であり、僕が自分で選んだわけではないが、翻訳を引き受けたのは当然、内容におおむね賛同できて作者の姿勢に敬意が持てたからである(関係ないが、三十年翻訳をやって共感できない文章はほとんど訳さずに済んできたのは実に幸運である)。いまより多感だった三十代に、明確なメッセージを持つ一冊の本と長時間つき合って(普通ならゲラ再校を読んだあたりで訳者の役目は終わるが、この本は国文社の中根邦之さんが五校か六校までやらせてくださった)、そのメッセージは以後の自分の人生に影響したか? したと思う。あるいは、影響ではないとしても、この本の核心で言われていることは、翻訳者として自分がやってきた仕事と響きあうものが間違いなくある。今回読み直して、翻訳をめぐる自分の考えが、そのままより広範囲に適用されているように感じられる箇所もけっこうあった。

単行本
デカルトからベイトソンへ
――世界の再魔術化
モリス・バーマン 柴田元幸

定価:4,180円(税込)発売日:2019年07月25日

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