- 2019.09.26
- 書評
全米を揺るがした衝撃の実話‼ 9月27日映画公開
文:阿部重夫 (『FACTA』ファウンダー)
『フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち』(マイケル・ルイス 著 渡会圭子 東江一紀 訳)
「超高速取引をする連中にとって、リスクなしで利益を上げるのに必要なのは正確な情報ではない。必要なのは、自分たちに有利になるよう、体系的にオッズを歪ませることだけだ」(本書百十六ページ)
オッズ(的中確率)を歪ませて「壊れたスロット・マシン」(本書三百三十六ページ)のようにジャラジャラ出っ放しになっても、現行法では違法と言えない。正直、困った! というのが、米証券取引委員会(SEC)や日本の金融庁などの偽らざる本音だろう。
「フラッシュ・ボーイズ」は日本にも上陸している。東京証券取引所は二〇一〇年一月、立会場を廃止して超高速の現物株式売買システム「アローヘッド」を導入した。同時に「コロケーションサービスを提供する」と謳っている。
コロケーション。証取が取引所のデータセンターのすぐ傍に、超高速業者などのサーバーを有償で設置させるサービスのことである。日本のある大手証券会社によれば、すでに約定(成約)の四割、発注の六割がコロケーション経由で占められている。「そのすべてが超高速取引業者ではないにしても、実感ではマイクロ秒を争う業者のシェアは約定ベースでおよそ三割、欧米の水準に近づいている」という。
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