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対談 私たちのファーストクラッシュ #3<特集 恋愛に必要な知恵はすべて山田詠美から学んだ>

対談 私たちのファーストクラッシュ #3<特集 恋愛に必要な知恵はすべて山田詠美から学んだ>

山田詠美 ,ジェーン・スー

文學界11月号

出典 : #文學界
ジャンル : #小説

『ファースト クラッシュ』(山田詠美 著)

 ジェーン さっきサガンのことを聞きながら思い出したんですが、山田さんの作品って、少女でいることの免罪符になっていたような気がします。自分の生が認められるというか。今を生きていることを、ちゃんと掬ってもらえているような感じがありました。

 山田 でも、それがさっき言っていたストリート感覚にも関わってくるんだよね。歳をとってくると、周りの価値観で自分を底上げするみたいな書き方をしちゃう人も多いから。例えばセレブの友達のことばっかり書いたりなんかして。

 ジェーン・スーさんみたいに熱狂的なファンを持つ物書きの人って、この人にしか分からない価値というのをちゃんと提示している人だと思うのね。そうすると、「あっ、私も実はそうだったんだよ」っていうところで共感がすごくあって。そういうものをずっと持ち続けるのは大変だと思うんだけど。

 あなたも本を出すようになっていろいろ言われたりしたことある?

 ジェーン 最初の頃はありました。いろいろ冷や水ぶっかけてくるような人に限って、連載まで読んでいたりして。どういう心境なんだろうって思いますけど(笑)。

 山田 ほんとほんと。

 ジェーン 今はだいぶ減りましたけどね。

 山田 だから、それが教科書になっていくっていうことなんだよ。

 ジェーン ああ、なるほど……!

 山田 最初のうちはとにかく気に食わないからって、こっちからすると残酷としか思えないようなことをネチネチ言ってくるんだけど、それでもずっとやり続けていけばだんだん減ってきて、いつのまにかみんな認めていく。っていうか、悪口言うにも情熱と勤勉さがいるからね(笑)。もうこうなったら乗りかかった船だから、お互いに頑張りましょうね。

 ジェーン ありがとうございます。今日の今日まで、まさか同じ船に乗っているとは思ってなかったんですが……「君たち、生き永らえたほうがいいよ、絶対」っていろんな人に言いたい気持ちです(笑)。

(構成・倉本さおり/八月二〇日、文藝春秋にて収録)


山田詠美(やまだ・えいみ)
一九五九年生まれ。八五年「ベッドタイムアイズ」で文藝賞を受賞し、デビュー。八七年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、二〇〇一年『A2Z』で読売文学賞、一二年『ジェントルマン』で野間文芸賞ほか受賞多数。最近の著書に『つみびと』など。

ジェーン・スー(ジェーン・スー)
一九七三年生まれ。二〇一五年、『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で講談社エッセイ賞を受賞。『生きるとか死ぬとか父親とか』、対談集『私がオバさんになったよ』などの著書のほか、作詞家やTBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」のパーソナリティとしても活躍する。

文學界 11月号

2019年11月号 / 10月7日発売
詳しくはこちら>>

単行本
ファースト クラッシュ
山田詠美

定価:1,650円(税込)発売日:2019年10月30日

文春文庫
ぼくは勉強ができない
山田詠美

定価:473円(税込)発売日:2015年05月08日

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