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親になるとはどういうことか──自らの生き方を問われる、力強い物語

親になるとはどういうことか──自らの生き方を問われる、力強い物語

文:大塚真祐子 (書店員)

『漂う子』(丸山正樹 著)

出典 : #文春文庫
ジャンル : #小説

『漂う子』(丸山正樹 著)

〈「行政が虐待を阻止するなんて、実はほとんどできないんです。子育てというのは、ある種、聖域です。他人は立ち入れないんですよ。児相だけじゃない、学校や保健所、警察にしても同じです。DVはようやく最近になって警察沙汰になるケースも増えてきましたけど、子供の虐待はまだまだです。児童虐待防止法ができてもう十六年になりますが、虐待はなくなりましたか?」〉

 シバリの存在にも衝撃を受けた。〈ストリート・チルドレンの元締め〉とはどういうことか。路上で援助交際の相手を探す、身寄りのない少女たちの面倒を見る。言ってしまえば、危険な人物から少女たちを守るという役割は果たしながらも、援助交際は黙認しているということだ。援助交際の斡旋の様子を目の前にして、直は逡巡する。

〈こんなことはしない方がいい。するべきじゃない。そんなことは分かっている。〉

〈彼女たちを許すとか許さないとか、誰が言えるのか──。〉

 いったい現状はどうなっているのだろう。『漂う子』の参考文献から、石川結貴『ルポ 居所不明児童─消えた子どもたち』(ちくま新書)と、NHKスペシャル「消えた子どもたち」取材班『ルポ 消えた子どもたち 虐待・監禁の深層に迫る』(NHK出版新書)の二冊を手に取ってみた。かいつまんで読んでみるつもりが、最後までページを繰る指を止めることができなかった。

文春文庫
漂う子
丸山正樹

定価:902円(税込)発売日:2019年11月07日

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