- 2019.12.04
- インタビュー・対談
<芦川いづみインタビュー>『硝子のジョニー』では、台本の台詞を色分けして撮影に臨みました
『芦川いづみ 愁いを含んで、ほのかに甘く』( 高崎俊夫、朝倉史明・編)
ジャンル :
#随筆・エッセイ
引退された後に撮影所に行かれたことはありますか?
日活が百周年を迎えた時に(2012年)、今の撮影所になってから初めて行ったんです。でもその花道が半分ぐらいになっていたのにまずびっくりしましてね。そして周囲にマンションが建っていて、上を見たら、窓から人が眺めてて……。その環境の、昔とのあまりの変わりように、しばし泣いてしまいました。でも、スタッフの方々は、半分ぐらいになったスタジオでしっかりお仕事をやってらっしゃるでしょう、そういうことを考えたら泣いちゃいけないな、って思いました。
日活に入って最初の頃にびっくりしたことは、社長(堀久作)さんからお着物一式をいただいたことでした。香月美奈子ちゃんと浅丘ルリ子ちゃんとわたしそれぞれに、帯から草履から全部。その時にわたしは、「ああ、頑張っておくれって言われてるんだな」って、そんな気がしました。そのお着物は相当に高価なものだったと思います。みんなそれぞれに好みの色がいただけたみたいで、わたしも藤色と紫、それにピンクの入った好きな色だったので何回か着たことはあったんですけど、なかなか着るチャンスがなくて。でもとてもうれしかったです。
当時は、厳しい五社協定がありましたから、堀社長としては、日活に入った女優さんに対してはとくに大きな期待を寄せていたのでしょうね。
社長さん、あるいは日活のスタッフの方には申し訳ないんですが、日活に入る時、わたしはそういうことは全然わからなかったんですよ。
聞き手=高崎俊夫 構成=朝倉史明
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