2019年度の防衛予算は5兆2574億円で、第2次安倍政権になってから防衛費は5年連続で過去最大を更新し続ける。集団的自衛権の容認に転じた安全保障法制の成立や米国製兵器の輸入拡大により日米の軍事一体化が急速に進む。先制攻撃を重視する安倍首相の考えを反映するかのように、官邸主導で攻撃型兵器の導入が進められるようになった。以前の政権では、議論はされても「机上の空論」にとどまっていたことだ。
「自動車の輸入関税を引き上げさせないことは安倍政権の至上命令だ」
経済産業省の官僚がそう証言するように、自動車の関税引き上げをちらつかせながら対日貿易の赤字削減を迫るトランプ政権の圧力をかわすため、政権は車とバーターで米国から兵器を次々と買うようになった。2018年夏からの取材で、そんな政権の思惑が次第に見えてきた。米・中・ロの軍事大国の後を追いかけるように、なぜ日本は再び軍拡の道を歩み始めたのか。巨額の防衛費の流れを追い、日本の危うい防衛政策を浮き彫りにする。
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