専守防衛がかすむ空母化計画
2019年5月28日午前10時、神奈川県横須賀市の海上自衛隊横須賀基地。薄曇りの中、首相官邸の屋上ヘリポートから飛来してきた陸上自衛隊の特別輸送ヘリコプター「スーパーピューマ」が横須賀港に停泊中の海上自衛隊の護衛艦「かが」の甲板にゆっくりと着艦した。間もなくグレーのスーツ姿の安倍晋三首相と緑色の洋服に身を包んだ昭恵夫人がヘリから甲板に降り立ち、海自の山村浩海上幕僚長らに迎えられた。
それから約30分後、今度は米大統領専用ヘリコプターがかがに着艦した。黄色いネクタイを締めたトランプ米大統領と、こちらも鮮やかな黄色の洋服とハイヒールで統一した華やかな装いのメラニア夫人が姿を見せ、安倍首相夫妻らが笑顔で迎えた。
最大14機までヘリコプターを搭載できるかがは全長248メートル、建造費1155億円の海自最大の艦艇だ。政府は2018年12月に策定した新しい「防衛計画の大綱(防衛大綱)」や「中期防衛力整備計画(中期防)」で、かがや同型の護衛艦「いずも」の甲板を改修・強化し、艦船に離着陸できるSTOVL(ストーブル)型戦闘機を搭載する計画を打ち出した。「空母」という言葉はなかったものの、それは専守防衛の観点から戦後一貫して封印してきた攻撃型兵器である航空母艦の復活を意味していた。
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