あまりに過激な作品、あまりに過剰な作品。あまりに痛快で、あまりに悲惨で、あまりに、どういっていいかわからない作品。あまりにあまりな作品。
読むうちに想像力のたががはずれてしまいそうになる作品。そう、おそらく、これがいちばんうまくこの作品の特徴をとらえていると思う。
こんなふうに始めると、びびって読まなくなる人もいるかもしれないので、ひとつだけまず書いておくと、何より、無類に面白い。
そう面白いのだ。話が面白い、展開が面白い、予測がつかない、予想は裏切られる、裏切られるけど、次のページを開くと、読者の予想の二倍、いや三倍くらい面白い地平が広がっている。
そもそもこの物語の舞台が思いきり差別的で過激で、そこがいやおうなく魅力的だ。その国では廃炉になっていた六十基ほどの原子力発電所が次々に臨界を起こして爆発し、放射能汚染による被害者、犠牲者があふれていた。主人公の青年ウマソーは性器が大きくならないまま成長し、精子はといえば奇形で、それも精液の中をポツリポツリと泳いでいる程度。一般に「小便小僧」と呼ばれる劣等な人々のひとりだった。
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