
ウマソー、そして彼と共に生きることになった者たちが最後の最後に伝えてくれる、かすかな希望。これを閉め出してしまわないように生きていく方法を、この世界は考えつくことができるのだろうか。パンドラの箱の最後に残った希望の行方を、この作品は読者にたずねている。
二十年ほどまえ、ロサンゼルスの本屋の店主と話していたとき、彼に、「ハルキ・ムラカミも面白いが、日本にもっとクレイジーな作家はいないのか」とたずねられた。そのときは、筒井康隆くらいしか頭に浮かばなかったので、肩をすくめたのだが、いまなら、堂々と「シュンジ・イワイがいる。『ウォーレスの人魚』や『番犬は庭を守る』を読んでみてくれ。クレイジーなだけでなく、パワフルで、感動的だ」と答えると思う。
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