一方でここ近年、在日外国人社会で存在感を強めているのはベトナム人だ。在日外国人の数はこれまで、上から中国、韓国、フィリピンの順だった。ところがフィリピンパブの減少と、それに反比例するように急増するベトナム人技能実習生および留学生により、フィリピンとベトナムの順番が入れ替わった。現場では、ベトナム人技能実習生へのパワハラや不当な待遇といった問題が表面化し、借金を背負わされた留学生はバイト漬けの日々。中には死に至る者もいて、外国人労働者を受け入れる日本政府の政策にはまだまだ曲折が予想される。

「この国じゃ、ガイジンはいつもそうだ。いいように使われて、用がなくなればそれで終わりだ」

　ケンが語ったこの言葉が、在日外国人たちの声を代弁しているように思える。

　次はアジアのどの国を舞台に、橘氏は物語を紡いでくれるのだろうか。その日をまた心待ちにしている。