その後、李氏はソウル大退官を機に、2016年秋、韓国近現代史を教える私塾「李承晩学堂」を開校した。学者としての活動を広げた李氏はインターネット・ニュースサイト「鄭奎載TV」で「李栄薫教授の幻想の国」という連続歴史講義を行い、その最終講義を慰安婦問題で締めくくった。それは「韓国人慰安婦は日本統治時代の日本の公娼制の一部であった」と、韓国で初めて公に語った講義で、従軍慰安婦の強制連行や性奴隷説を全面的に否定した内容だった。講義はYouTubeでも配信され、日本で視聴が可能だった。韓国国内におけるこうした史実へのアプローチは大変貴重な試みであると思い、訪韓した際に私は日本での出版を李栄薫氏に薦めた。
李栄薫氏が主宰する「李承晩学堂」は、南北分断の混乱の中から大韓民国を建国した李承晩大統領の思想を著書『独立精神』などから学ぶ歴史塾だが、韓国近現代史を学ぶ上で日韓の歴史をどう位置付けるかは歴史観の基本となる。こうした視点から「李承晩学堂」は改めて2018年末から「危機韓国の根源:反日種族主義」「日本軍慰安婦問題の真実」という45回にわたる連続講義を実施したのだった。李栄薫氏との相談で、慰安婦問題だけでなく「反日種族主義」全体を日本語版にしようとの構想となり、韓国語版とほぼ同時進行で翻訳作業を行ってできたのが『反日種族主義』の日本語版である。日本語版は、2019年11月に出版されたが、瞬く間に韓国以上のベストセラーとなった。
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