インタビューほか

<対談>森見登美彦×深緑野分「空想対談 虚空に城をなす」

別冊文藝春秋

電子版31号

深緑 私もコースを決めると全然駄目で、プロットはまったく立てないです。

森見 じゃあ、(史実などの)ディテールが必要になったら、その都度調べるんですか。

深緑 ディテールを書くのに必要な知識は、もともと自分の中に入れておいて、あとは必要になるまで放置、みたいな感じですね。

森見 ははぁ。結末などは決めておきますか。

深緑 終わりだけ決めておいたりします。でも、最初に思いついたオチって、みんなが予想できる程度のオチだったりして、つまんないことが多いんです。だから中盤くらいでそのオチを明かして、書きながらまた別のオチを考えます。

正体が掴めない、だからこそ『熱帯』は面白い

――お二人とも推敲はかなりされますか。

深緑 私は、一回書いたものを頭から全部パソコンで打ち直したりしますね。『ベルリンは晴れているか』も、最後まで書き通してからまた頭から書き直しているので、時間はかかりました。

森見 僕も、いくらでも直します。デビューする前とプロになった後で、いちばん変わったのは書き直しにどんだけ重みをかけるか。

深緑 一回書き上げていざ直そうという時に、完成度が低すぎて、これを直すには構造自体を変えないといけないと気づき、改稿自体をストップすることも……。ここ3~4か月、それでド迷走していました。

森見 ああ……(嘆息)。

深緑 で、ようやく正しいやり方が見えたところです、今。

森見 僕は連載を抱えすぎてパンクして、数年間くすぶっていた時期があります。それが一番の迷走時期ですかね。それ以降も、そんなに余裕綽々で新作が書けているわけじゃないから、毎回迷走っちゃ迷走ですけれど。

『熱帯』がストップしたのもその迷走時期で、連載から単行本になるまで6~7年間空いています。もともと作中作の『熱帯』の正体も分からないまま見切り発車で連載をはじめたんですが、中断時期にいろんなアイデアが見つかったので、話も膨らみました。

別冊文藝春秋からうまれた本

別冊文藝春秋 電子版31号(2020年5月号)文藝春秋・編

発売日:2020年04月20日

熱帯森見登美彦

定価:本体1,700円+税発売日:2018年11月16日