AISのひとはXY型(男)の性染色体を持つが、性自認(ジェンダー・アイデンティティ)は例外なく女だ。思春期には乳房がふくらみ、男性に性的魅力を感じ、多くは結婚して養子を迎え母親になる。唯一の特徴は男性並みに背が高いことで、スーパーモデルのなかにはAISを噂される者が何人もいるらしい。
聖書には、アダムの肋骨からイヴがつくられ、エデンの園で暮らすようになったと書いてある。だが生物学的にはこれは逆で、イヴ(メス)からアダム(オス)が分岐したのだ。
もうひとつの理由は、それにもかかわらず、これまでの心理学がずっと男を基本にしてきたことだ。
アメリカにおいてすら1970年代まで心理学者のほとんどは男で、男の被験者を対象に研究が行なわれていた。男女には生殖器以外なんのちがいもなく、女は「小さな(あるいは劣った)男」と見なされていたのだ。なぜなら、女は生理周期によって実験結果が変動し、“観察対象”として相応しくないから。
本書に登場する多くの女性研究者は、こうした「男性中心主義」に反発し、さまざまな実験によって「男と女はちがう」、すなわち「女は男の(劣化した)コピーではない」という科学的事実を証明してきた。
こちらもおすすめ
-
事実に基づく驚愕の物語。なぜ日本で「重婚」状態の男性が生まれたか?
-
ソロスから学んだこと
2014.05.28書評 -
スラップスティックな物語に経済理論をあてはめる
-
臆病者が“賢明な投資家”になるには
2006.04.20書評