- 2020.07.16
- インタビュー・対談
このパンデミックで人類の未来はどう変わるのか?
大野 和基 (編)
『コロナ後の世界』(ジャレド・ダイアモンド/ポール・クルーグマン/リンダ・グラットン/マックス・テグマーク/スティーブン・ピンカー/スコット・ギャロウェイ/大野 和基)
新型コロナの蔓延を受けて、中国政府は二月下旬に野生動物の取引と消費を全面的に禁止しましたが、SARS流行の時点で教訓を学ぶべきでした。なぜもっと何年も前に野生動物市場を閉鎖していなかったのでしょうか。
近著『危機と人類』(日本経済新聞社)でも指摘したとおり、政治の二極化がアメリカの民主主義を脅かしているのですが、パンデミックへの対応で多少の変化が見られました。もちろん共和党と民主党の二極化は変わりませんが、それでもクリントン政権、オバマ政権、そしてトランプ政権の初期と比べると、そこまでひどくありません。共和党も民主党も新型ウイルス対策の経済支援法案についてスムーズに合意しました。
ここで興味深いのは、新型コロナウイルスの流行拡大という脅威に対して、大きく二極化していたアメリカ人が一丸となって立ち向かおうとしたことです。前に述べたように、当初、トランプ大統領は「コロナはインフルエンザよりも怖くない」と言っていましたが、さすがのトランプ大統領も新型コロナが明白な脅威であることを認めざるをえませんでした。アメリカでいまだにパンデミックを甘く見ているのは、ミシシッピー州のリーブス知事くらいのものでしょう。トランプ支持者である彼は、経済活動の再開をいち早く訴えていました。
新型コロナが今までの危機と違うのは、世界中の至るところに拡がったことです。
十四世紀の黒死病や、十九世紀のペストでも、エピデミック(特定地域での流行)であり、現代のように急速に拡がるパンデミックではありませんでした。その違いは飛行機があるかないかです。飛行機によって世界中にウイルスが一気に拡散したのです。