- 2020.07.16
- インタビュー・対談
このパンデミックで人類の未来はどう変わるのか?
大野 和基 (編)
『コロナ後の世界』(ジャレド・ダイアモンド/ポール・クルーグマン/リンダ・グラットン/マックス・テグマーク/スティーブン・ピンカー/スコット・ギャロウェイ/大野 和基)
『コロナ後の世界』は、新型コロナウイルスのパンデミックを受けて、今年の5月から6月にかけて世界有数の知識人6名に緊急インタビューを行い、刊行したものだ。今回はそのインタビューの中からジャレド・ダイアモンド氏の言葉を紹介しよう。
現在、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)地理学教授を務めるダイアモンド氏の名を一躍世界に知らしめたのは、ピューリッツァー賞(1998年)を受賞した著書『銃・病原菌・鉄』(草思社)だった。生理学博士で、地理学者で、進化生物学者である上に歴史学者。そんな彼の研究はまさに学際的で、かつ多様な専門性に富んでいる。
新型コロナウイルスによるパンデミックという世界的な危機に加えて、日本は人口減少、少子高齢化、男女不平等、近隣諸国との関係、資源不足、長引く不況など、独自の問題も以前から多く抱えている。再度の感染拡大への不安が高まる中、ダイアモンド氏にポスト・コロナ時代における世界と日本の行く末を見通してもらった――。
新型コロナウイルスへの危機対応において、各国におけるリーダーシップの在り方や、リーダーたちの資質の差が如実に現れました。アメリカのリーダーであるドナルド・トランプ大統領の場合、率直に言ってかなりひどいものでした。アメリカで流行がはじまった三月上旬ではありましたが、トランプ大統領はこう言っていました。
「毎年インフルエンザで平均二万七千~七万人が死亡している。それでもシャットダウンせずに生活も経済も回っている。現時点でコロナウイルスの感染が確認されているのは五百四十六人で、死亡者は二十二人だ。これを考えてみてほしい!」(三月九日のツイート)