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その「苦しみ」が未来をつくる――住野よる×松本穂香、もがく二人の青春対談

その「苦しみ」が未来をつくる――住野よる×松本穂香、もがく二人の青春対談

聞き手: 別冊文藝春秋

映画『青くて痛くて脆い』公開記念(別冊文藝春秋 電子版33号)

出典 : #別冊文藝春秋
ジャンル : #小説

映画『青くて痛くて脆い』が二〇二〇年八月二十八日に公開されます。原作者の住野よるさんと、住野さんが自ら「推しキャラ」と公言する役どころ、“ポンちゃん”を演じた松本穂香さんによる初対談。映画の裏話から、自分が学生時代にやってしまった“痛い”経験までを赤裸々に語った青春対談です。


「こんな風に生きられたらいいのに」と思いながら書いたキャラクター

住野 僕の想像を超えるポンちゃんを演じてくださっていて、すごく嬉しかったです。

松本 ありがとうございます。ポンちゃんのセリフにあった「どんな自分も自分だ」という言葉が印象に残っていて、これがポンちゃんの核なんじゃないかと思ったんです。撮影の時期はポンちゃんはどんな人なのか理解しようと、ずっと意識して考えていました。

 本作は「大切な仲間」と「居場所」を奪われ傷ついた大学生・田端楓が復讐のため行動を起こすという、青春期のほの暗さにも踏み込んだ物語。吉沢亮さん演じる楓、杉咲花さん演じる秋好寿乃はともに、「世界を変える」という目標を掲げる秘密結社サークル「モアイ」を立ち上げた。しかし、秋好がこの世界からいなくなった後、「モアイ」は、意識高い系就活サークルに成り下がっていた。楓はバイト仲間の前川董介(岡山天音)や、董介の後輩でモアイの幽霊部員である本田朝美(通称ポンちゃん)とともに、自らの「居場所」を奪ったモアイを潰す計画を立てる……。

住野 楓も秋好も、かなり過剰で、癖の強いキャラクターです。それに対して、ポンちゃんと、その先輩である董介はきわめて良識的な、他人と適切な距離感で接することができる二人です。原作を出したときから言っているんですが、ポンちゃんは僕の推しキャラです。

松本 ポンちゃんは誰に対しても堂々としています。私は、好きな人の前では声が高くなったり、でも親にはひどい態度を取ったりと、人によって態度を変えることはマイナスだと思っていたんです。でも台本を読んで、ポンちゃんみたいな人がいることに救われました。「ヘラヘラしてますよね」と言われて「うん、そうだよ」と言い切ってしまえる強さがポンちゃんにはあると思いました。そういうポンちゃんの考え方は、きっと住野さんの中にもあるものなんですよね。

住野 そうですね。僕の中にある「こういう考えで生きられたらいいのにな」という部分が投影されたキャラクターが、ポンちゃんなのかもしれません。松本さんがおっしゃったように、まっすぐじゃない自分を認められるのがポンちゃんのすごさだなと。そこに楓や秋好にはない強さがあって、それがこの物語を成立させていると思っているんです。

松本 物語全体を通して、私はポンちゃんに一番共感しました。

別冊文藝春秋からうまれた本

電子書籍
別冊文藝春秋 電子版33号(2020年9月号)
文藝春秋・編

発売日:2020年08月20日

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  • 『赤毛のアン論』松本侑子・著

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