- 2020.10.08
- インタビュー・対談
<武田綾乃インタビュー>人気動画はなぜ圧倒的に見やすいのか? ゲーム大好き作家が描く、ゲーム実況Youtuberのリアル
『どうぞ愛をお叫びください』(武田 綾乃/新潮社)
「当初から裏方にスポットライトが当たる小説にしようと思っていました。というのは、ゲーム実況というと、趣味の延長と思われるかもしれないんですけど、一つの動画の中にどれだけの技術が詰め込まれているか意外と知られていないと思って。ゲーム実況で人気の動画って圧倒的に見やすいんですよね。音の入れ方、テロップの流し方など一つ一つの要素にすごく気を遣って作られている。いかに人に楽しんでもらえるか。それを真面目に考えているのがユーチューバーだと思うんです。今回動画編集をやっている男子高校生に取材しましたが、裏にどんな苦労があるのかしっかり認識して動画作りを楽しんでいる。若い人はユーチューバーのことを完全にクリエイターとして見ています。表面的なところだけ見ているのは実は大人の方なんじゃないかなと思って反省しました」
男子高校生たちが、自分たちの存在をネット上で主張するときの奮闘、初めて自分たちの動画が世間に受け入れられたときの感動には胸が熱くなる。一方で影響力が大きくなるからこそ起きてしまうトラブルもあり……。その試練を彼らはどのようにして乗り越えるのか? 青春ものの王道ストーリーでありつつ、現代だからこその心の動きや、動画を提供する側と動画視聴者側との関係性が丁寧に掬い取られているのも魅力だ。
「普段本を読まない子が、YouTubeのことが書いてあるなら自分に関係あるかも、と思って手に取ってくれたら嬉しいです。自分で言うのもなんですが、めちゃめちゃ読みやすいと思います(笑)。一方で、子供がYouTubeばかり見ていると悩む親御さんにも読んでいただきたいです。お子さんがなぜ夢中になっているかが、物語を通して感じ取れるんじゃないかなと。この小説が世代間を繫ぐ架け橋になってくれるのが希望ですね」
たけだ・あやの 一九九二年京都府生まれ。第八回日本ラブストーリー大賞最終候補作に選ばれた『今日、きみと息をする。』が二〇一三年五月に出版されデビュー。その後『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』が、テレビアニメ化され話題に。同シリーズは映画化、コミカライズなどもされ、人気を博している。近著に『青い春を数えて』『その日、朱音は空を飛んだ』「君と漕ぐ ながとろ高校カヌー部」シリーズなどがある。最新作は『愛されなくても別に』。
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