- 2020.11.27
- インタビュー・対談
スポーツにして最も知的なギャンブル「競輪」。その奥深い魅力
轡田 隆史 ,堤 哲 ,藤原 勇彦 ,小堀 隆司
『競輪という世界』(轡田 隆史/堤 哲/藤原 勇彦/小堀 隆司)
当然ながら、トップ選手と下位の選手では稼ぐ金額に大きな差がでてくる。現在、生涯獲得賞金の歴代トップは、いまも現役の神山雄一郎(栃木・51歳)の28億5863万円だ。S級S班に所属する選手は1年で軽く億を超える金額を稼ぐが、逆に下位に沈む選手は多くを稼げないばかりか、引退をも余儀なくされる。毎年、男子はおよそ70名の新人選手がデビューを果たすが、その一方でA級3班に属する選手の下位30名は半年ごとに肩を叩かれ消えていく。年齢による引退も含めると、入ってくる選手の数とほぼ同数の選手がいなくなるシビアな世界でもある。
その一方で、技術と経験がものをいう一面もあり、選手の平均年齢は37.3歳(S級S班は36.3歳)と、プロスポーツのなかでは選手寿命が長い。最年長の現役選手はなんと60歳だ。
レース期間中は携帯禁止
競輪はバクチかスポーツか。明確に線を引くことの難しい、この2つのイメージがこれまで競輪をライトなファンから遠ざけてきた要因かもしれない。確かに競輪は公営ギャンブルの1つであるが、選手になるためには高いアスリート能力を有していなければならない。
たとえば競輪のトップ選手は、200メートルFTT(フライングタイムトライアル)で10秒を切るタイムで駆け抜ける。単純な比較をすると、陸上の100メートル世界記録保持者であるウサイン・ボルトよりも倍ほど速い。あのボルトが疾走する映像の2倍速をイメージしてもらえば、競輪選手が自転車を駆るスピードがいかに凄いかが伝わるだろう。
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