――書店員の皆さんに本気で「いちばん売りたい一冊」を選んでいただく、本屋が選ぶ時代小説大賞がついに節目の第十回目を迎えました。今年は新型コロナウイルスの影響もあり、書店をとりまく環境も大きく変わったのではないでしょうか?
内田 私が勤務している八重洲ブックセンターは、緊急事態宣言が発令された春先は本店以外の店舗は休業していました。本店でも短縮営業で土日祝日は店を閉じてましたね。
田口 内田さんと同じく、リーディングスタイルも東京駅近くにマルノウチ店がありますが、このあたりはだいぶ人通りが減ったように思います。
内田 体感的には、東京駅はいまだに六割くらいしか人が戻っていないですね。それまでは週に三、四回はサイン会やトークショーなどのイベントを開いていましたが、十一月になっても一、二回なので、全然違います。
昼間 コロナ真っただ中のときは、図書館も開いておらず、営業している書店に人が集中しました。そういう意味で全体の売上としてはそこまで悪い数字じゃないけど、プラスになった店とマイナスになった店がはっきり分かれました。特に駅ナカの書店は苦戦している。
阿久津 緊急事態宣言のころは現在の錦糸町店ではなく、南千住店で勤務していました。同じくまざわ書店のチェーン内でも北側の西新井店や千住大橋店、南側の浅草店と錦糸町店は閉めていたので、そのあたりの商圏のお客様が、営業していた南千住店に集中して大変なことになっていました。
市川 丸善ラゾーナ川崎店も一か月半くらい休業したんですが、ちょうどコミック『鬼滅の刃』が売れに売れているときだったんです。店は閉めているんだけど、入荷は止められないんですね。当然販売は出来ないので、各巻入荷したものを黙々と荷捌きしていました。
阿久津 電話を取るたびに『鬼滅』についての問い合わせでしたね(笑)。さらに劇場版が公開されていて、またピークを迎えました。
市川 そうそう。在庫が溶けるようになくなっていくというのを書店員になって初めて経験しました。
――『鬼滅の刃』は大正時代が舞台ですが、昨年の受賞作『熱源』や今回の候補にも明治時代以降を扱った作品が入っています。この流れに乗って、歴史時代小説でも近代ものが盛り上がればよいなと思っております。
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