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中村七之助・永山瑛太W主演。 正月時代劇「ライジング若冲」に注目!

中村七之助・永山瑛太W主演。 正月時代劇「ライジング若冲」に注目!


ジャンル : #歴史・時代小説

緻密なアートや国宝級の背景へのこだわり

――ドラマの中には若冲をはじめ、応挙や池大雅らの描いた絵も数多く登場すると聞いていますが、そういったアート部分の再現はどのように?

 七之助さん本人から、「その才能はまったくない」と申告があって実際にそうでした(笑)。ただ大東君と中川君は、けっこう絵がうまくって絵を描く場面も、ほぼほぼ本人が演じています。有名な先生に手元だけをおねがいするようにもしていたんですが、それよりも本人が描く方がいいのは不思議なものですね。

 若冲の「動植綵絵」というのはご存じのように精緻だし、裏紙だけでも特別高価なものが使われていたり、顔料も非常に特殊なものなんです。そのあたりも割と苦労したというか、正絹に下絵を描くのにもまるでドキュメンタリーを撮影するがごとく、今回は「動植綵絵」を所蔵する三の丸尚蔵館から高密度のデータもお借りすることもできたので、それを使いながら制作過程を撮ることができました。現代の印刷技術というものは素晴らしくて、線を制作順にそってそれだけプリントアウトもしたりできるんです。

若冲が鶏を好んで描いた秘密も作中で明かされる

 ただ印刷だといくら再現性が高くとも、カメラが寄ると偽物だとばれてしまうので、ディテールは印刷したものをもとにして、その先は描いてもらうしかないんですが、このドラマをやる以上は、美術ファンにも喜んでもらえるものにしたい。下手なものを使ってもつまらないですから、アート関係の撮影には助監督を3名つけて、美術の専門家も招いて、筆の一本一本にもこだわりました。実際の日本画をやっている方、研究者として有名な方も撮影現場に参加していただいたので、役者の方はやりにくかったでしょうが(笑)、専門家の方が見ても納得いただけるものになっていると自信があります。

 コロナ禍での撮影でしたので、特に特殊メイクで、瑛太さんはあの坊主頭を作るのに2時間もかかるんです。普通は女優さんならいざしらず、男性は30分前で済むものを、瑛太さんは毎朝5時入りでメイクをしたうえに、フェイスシールドをつけてのリハーサルですから本当に大変だったと思いますよ。ただ、京丹波の方へ保存されている昔の集落で、若冲、池大雅、応挙の3人のスケッチ遠足を撮ったり、国宝級のお寺をお借りしたロケなども多かったので、背景も見どころのひとつです。

特殊メイクに2時間をかけたという坊主頭にも注目

 日本人というのはきれいなものが好きで、梅や桜が咲いたら花見に、紅葉が綺麗なら紅葉狩りに行くし、お寺には綺麗な障壁画があって、日本美術には詳しくなくてもそれを美しいと理解して楽しむことができますよね。だからこそお正月には若い人もお年寄りも楽しむことができる、自由で痛快な作品として、「ライジング若冲 ~天才 かく覚醒せり~」を観ていただけたら。アクションはまったくないんですが(笑)、才能のある男が才能ある男に惚れる、綺麗なものや格好いいものが沢山出てきて、それがすべて無償の愛で創られていた――公式には若冲と大典の関係を恋愛とは言っておらず「強く惹かれ合って」というように表現していますが、若冲と大典のラブシーン!? もありますので(笑)、どうぞご期待ください。

正月時代劇「ライジング若冲 ~天才 かく覚醒せり~」
2021年1月2日(土)NHK総合/BS4K 夜7時20分~8時35分


写真提供はすべてNHK
 

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